ハンター組織本部。 ボスの趣味により設置された調理室に、小さな人影があった。 見たところ八歳前後、無地のカッターシャツと半ズボンという格好で、黒いうさ耳とうさしっぽを標準装備したその少女は、オーブンから『黒い物体』を取り出すと、力無く首を振った。 「くっ・・・・・・また失敗か」 これで十度目である。 すでに材料は底を突きかけ、タイムリミットも少しずつ、だが着実に近付きつつある。 ハンター・シリーズ33 『可愛いティラミスは、いかが?』より 作・てぃーえむ イラスト:とうこさん |
たとえば、彼女だ。 夜、そのバーにやって来た藤美珊瑚は席の最奥に陣取って、ウィスキーを傾けた。それから、ほおづえをついて、水滴が付いたグラスに指を這わせた。そして、無駄に過ぎていく夜の時間を指折り数える。 イラスト:高野透(旧名:ムクゲ)さん ハンターシリーズ32 『誰にも届かない、その歌を』より 作・てぃーえむ |
このイラストに登場しているハンター ハンター3号(藤美珊瑚(ふじみ・さんご)) 真城の城@Wiki |
「真城の城」300万Hit達成記念 |
イラスト:小笠原空馬さん |
「女の子でしょ? だったらもっとおしゃれしなくちゃ!」 「いやその……私は、おと――」 「そうだ! お礼に今日のショーで使ったドレスを着せてあげよう」 「ええええええっ!?!?!」 「そうよ! 私も普段着をプレゼントしてあげるわ。それに……あなたノーブラじゃないの」 かああっ! と耳まで赤くなって胸を抱きしめるように隠す。 「いやその……これは――」 「何!? そりゃいかん。私にまかせときなさい!」 「いや……だからその……」 「さあ、こっちにいらっしゃい! 新作のウェディングドレスのモデルにしてあげる」 「え、遠慮します……遠慮しますったら、あ…………た、助けてぇえええええええ〜っ!!」 「いちごちゃんおしゃれ!」より ↓前日談がこれ 「華代ちゃんシリーズ『結婚願望』」 イラスト:夜空さん |
「……ま、まあとにかくですね、えーと――」 少し喋る度に、けんけんとセキみたいなのをするのは何なのだろうか。何やら声を出すことに慣れていないようにも見える。 「さっき、ヘンな女の子に会ったでしょ?」 「え?」 信じられない――といった表情をする花嫁。 「分かってますよ。きっとあいつのことだから…………まあいいです。すぐに戻しますから」 「いちごちゃんおしゃれ!」より ↓前日談がこれ 「華代ちゃんシリーズ『結婚願望』」の イラスト:夜空さん 吸血美人←夜空さんのサイト |
「あー、はいそこまでそこまで」 そこに全く飾りっけの無い15〜6歳くらいの健康的な少女が現われる。 Tシャツにジャケット、ジーンズという、シンプルそのものといういでたちである。 とてとてとウェディングドレス姿の花嫁に歩み寄ると、 「うーん、こりゃまた随分と――」 「いちごちゃんおしゃれ!」より ↓前日談がこれ 「華代ちゃんシリーズ『結婚願望』」の イラスト:夜空さん 吸血美人←夜空さんのサイト |