彼は、望遠レンズを同僚に向けてシャッターを切りまくった。 途中、見知らぬ可愛い女の子や、組織のアイドルであるいちごを撮っているのは、当然である。もちろんこれは後で売りさばくのだ。間違っても写真を懐に入れたりはしない。万が一、妻にばれたら、殺られるからだ。 イラスト:高野透(旧名:ムクゲ)さん ハンターシリーズ35 『ななちゃんレポート「体育大会」』より 作・てぃーえむ |
そんな熱いドームのVIP席に、一つの人影があった。 年の頃なら二十歳過ぎ。鋭い顔立ちで、かなりのハンサム。しかし、瞳のない銀色の右目が違和感を発していた。 七瀬銀河。秘密組織『ハンター』のエージェントであり、普段は七号と呼ばれている。 イラスト:高野透(旧名:ムクゲ)さん ハンターシリーズ35 『ななちゃんレポート 「体育大会」』より 作・てぃーえむ |
と、 「おい、誰だよ騒いでるヤツ」 なんて言いながらやって来たのは、見た目十七、八歳のポニーテール美少女、半田いちごだった。Tシャツとジーンズという、いつも通りのカジュアルなスタイルだ。 ハンターシリーズ33 『可愛いティラミスは、いかが?』より 作・てぃーえむ イラスト:とうこさん |
千景は初めて、笑顔を見せた。 つられて珊瑚も目を細めて。 「それじゃ、おやすみなさい、千景ちゃん」 手を振って、扉を開いた。 「良い夢を、珊瑚さん」 千景が小さく手を振るのをみとめてから、珊瑚はバーを後にした。 イラスト:高野透(旧名:ムクゲ)さん ハンターシリーズ32 『誰にも届かない、その歌を』より 作・てぃーえむ |
度重なる失敗にキレたりくは『出来損ない十号・黒こげ』を粉砕すると、間近にあった『おいしいお菓子のレシピ』をびりびりに破いて、地団駄ふんだ。 その衝撃でテーブルの端にあった『膨らんでいないシュー生地・半生』が落っこちた。みごとなあばれっぷりだ。 ハンターシリーズ33 『可愛いティラミスは、いかが?』より 作・てぃーえむ イラスト:とうこさん |
珊瑚は言葉だけでうなずいて、ただその少女、千景を見つめた。 彼女は珊瑚の言葉を、おそらくは名乗りを待っているようだった。 それでも黙っていると、彼女はちょっと不満げに眉をひそめた。 イラスト:高野透(旧名:ムクゲ)さん ハンターシリーズ32 『誰にも届かない、その歌を』より 作・てぃーえむ |