この度「ハンターシリーズ」がめでたく100作品を達成いたしました。有難うございます。節目ということで、これまでの紆余曲折と波乱万丈のハンターシリーズの誕生から変遷、そして現在の状態に行き着くまでをまとめて紹介させて頂きます。
最初に「ハンター」が登場したのはかなり初期の「華代ちゃん」で描かれた原田聖也さんの「固茹」の続編においてでした。
「固茹」とは「かたゆで」と読み、「ハードボイルド」の日本語当て字です。
かなり渋めの硬派な一作。
最後の最後までハードボイルドに進むのに、正にラストシーンで華代ちゃんが出てきて全てをぶち壊してしまう…という力作です。
華代ちゃんは思いつきの一発アイデアとして描けるのが魅力なのですが、それだけではなくて堅牢に構築された作品世界を一気に軟派な世界に叩き落してしまう「ギャップ」もまた魅力の一つです。
とはいうものの、実際にそれをやろうとすると大変です。
まず最初に「硬派な長編小説」を書かなくてはならないのですから。
しかし、原田さんはそれをやってくれたんですね。
この作品が大いに気に入った私は出来たばかりの「番外編」設定を使って勝手に「続編」を書きました。それが「追跡者」です。あ、勿論実際に掲載させていただくに当たっては原田さんの許可を頂いています。
「追跡者」を書くのはある意味かなり楽でした。
何しろ「前編」として既に長編ハードボイルドが存在しているんですから。
その後一編だけ書かれた掲示板小説と「続編の続編」的な位置付けの「セカンド・チャンス」を経て「いちごちゃん・シリーズ」として連作を少年少女文庫さんに投稿します。
どうも私はこの手の「主役キャラを思いっきり立たせてそれが毎回同じパターンでどうにかする」という話が好き(得意?)みたいで、「華代ちゃん」は勿論「晶くん」「フォスター」もみんなこんな感じです。
この時に「毎回引きこもる」というオチで笑いを取りに行ったのが全ての始まりでした。
最初はサブキャラに名前も無かったのですが、「とりあえず1号がいるんなら5号くらいいてもいいだろ」的な安易な発想で「5号」が設定されました。
この時には「シェアード・ワールド」で多くの人に参加してもらおうなんて夢にも思っていません。
続けざまに2号、3号、4号と失敗し…という具合に順調に続いていきます。
本当は安易な道を進むやりかたもありました。
「華代ちゃん」並の(いい意味での)ワンパターンで毎回色んな衣装を登場させることだけを考えて書き続けることです。例えばですけども、2号にはウェディングドレス、3号にはバレリーナ、4号にはバニーガール、5号にはスチュワーデス…という具合に。
しかしそれはやらず、3号を最初から女性にしたりと色々イレギュラーを仕込んでいきました。
ここで最初のサプライズが起こります。
それはZyukaさんによって「6号」と「7号」のエピソードが書かれたことです。
これにはかなり面食らいました。
確かにシェアードワールドの「番外編」という位置づけですから誰が何を書いてもいいんですけど、こういう展開は全く予想していなかったんです。
しかも「名前を番号の駄洒落にする」ことで大変な勢いでハンターが増殖し始めました。
この「名前を駄洒落にする」命名法は「めぞん一刻」で苗字の名前と同じ部屋に住んでいる住人達と言うアイデア(*)が面白かったためにやってみたものです。
(*管理人さんが「音無響子」(0)、1号室が「一之瀬さん」2号室が「二階堂くん」、4号室が「四谷さん」、5号室が「五代君」…という具合)
「ハンター1号」を「半田いちご」としたあたりからそもそもそうですし、「5号」を「五代秀作」とするなんてのは完全に「めぞん一刻」へのオマージュです。
Zyukaさんもこの伝統に則っていただいたらしく「りく(6号)となな(7号)」と言う風に命名していただきました。
ここでふと気が付いたのです。
そう、「いちごちゃん」シリーズはそもそも「華代ちゃんシリーズ番外編」であり、「華代ちゃんシリーズ」がシェアードワールドであり、「番外編」もそうである以上、必然的に「いちごちゃん」とそこに登場するハンターたちの物語も「誰もが自由に描いていい」ものであったのです!
間抜けなことに当時の私はそんなことすらも全くもって意識していなかったのです。
というか、こんなしょーもない(ある意味自慢)シリーズに参入してくれる物好きな方がいるってことがまず信じられませんでした。
かといって「書かないで」というのも変(?)ですし、私にだってそんな権限はありません。
「書かれるのが嫌」という訳では全く無いですよ!そこは誤解なきよう。ただ「予想していなかった」んです。
皆さんちょっと想像してみてください。
自分が好きで書き飛ばしている小説郡を大勢の人がどしどし番外編だの続編だのを描き始めたという状況を。
「シェアード・ワールド」を標榜している「華代ちゃん」とか「フォスター」とかがどしどし書かれるのは大歓迎です。また、これらは「設定が追加されない」という特徴があるために放置していても大丈夫。
ところが、その中でもたった一つの可能性に注目したシリーズに対して何らかの感想を貰ったりすることまでは予想できても我も我もと書き始められることなんて全くの想定外でした。
物凄く有難いんですが、戸惑ってしまった…というのが正直なところでしょう。
自分ひとりでやっていく積もりだったので、「ハンター組織」の設定とか“ムチャクチャ適当”“わざといい加減”にしてあり、何だか申し訳ない気持ちで一杯でした。
ただ、今にして思えばこの「敷居の低さ」が間口の広さに繋がったのも事実で、何が幸いするか分かりません。
もしも「シェアードワールド」としてしっかり設定しようとした場合、半年掛けてがっちりと設定を作ってしまう様なことになった可能性もあり、そうだったらこれほど広く受け入れられなかったことでしょう。
今にして思えばハンターシリーズには「参加したくなる」要素があったかもしれません。
というのは「華代ちゃんシリーズ・番外編」において最も盛んに書かれたのが「華代ちゃんの設定に言及する」作品群でした。
中でも「華代ちゃんは複数が同時に存在する」「華代ちゃんは増殖する」などの短編はその後半ば「番外編」に於ける公式設定と化しています(一応無印「華代ちゃん」においてはこうした「番外編で追加された設定」に言及したり、それを前提とすることは禁止されています)。
ハンターシリーズは番外編であるが故に「設定の追加」がそもそもの大前提となっており、要は「書き甲斐がある」のです。自分が考えた解釈や新キャラがその後に続くクリエイターたちに「使ってもらえる」のですから。
ただ、言うまでもありませんが「シェアード・ワールド」で「誰でも好きに書いていい」ことと「設定の追加あり・全ての作品は続編」であることを両立させようとするなどというのは暴挙もいいところです。
例えばですけど、一斉に100人が100作品を同時に執筆し、それぞれが矛盾する内容を含んでいた場合…どうなると思います?
極論すればそうなる可能性はかなり高かったんです。
第二掲示板というマイナーな舞台を使って12号、13号が提唱された時には半ばパニックでした(^^。いや、嬉しいことは嬉しいんですけど、この調子でみんなが勝手にやり始めたらどうやって管理したらいいんだ!という今と全く変わらない悩みですね。
この頃は「ハンター・シリーズ」と「いちごちゃんシリーズ」の境界も明確ではなかった頃で、文庫の掲示板で「使いたいからちゃんと定義してくれ!」と怒られたことを昨日の様に思い出します。
慌てて「5号」が勧誘される「過去のエピソード」を書いて「ハンターの体質」「ハンター勧誘のメカニズム」「ハンター自身が華代被害に遭った場合に戻れない理由」などを定義しました。
これは「フォスター」の「インペンティング・ディザスター」であの世界のタイムパラドックスを定義したのと同様のプロセスです。
この「五番目の男」で書かれた設定が現在も通用する「ハンターシリーズ世界内のお約束」となっています。
流石に基本がいい加減な世界とはいえ、幾らなんでもこの程度は定義しないと話にならないでしょうから。
更にこれまでは自分が勝手にそう名乗るという意味での「いちごちゃんシリーズ」でした。個人的には「ガープス・ルナル」みたいなイメージです。
「ガープス」シリーズは誰が何をやってもいいわけですが、「ガープス・ルナル」はグループSNEが権利を持つでしょう。そんなイメージです。
しかし、その論理は通用せず(^^;;「シェアード・ワールド」としての「ハンター・シリーズ」(当時は「・」あり)を改めて発表するという妙なことになってしまいました。
何しろ「華代ちゃんシリーズ・番外編」は元々シェアードワールドなのですから、それを改めて「誰でも書いていいですよ」というのは二重告知です。
しかし、この時点に至ってはこの様に告知をしておかないと収まりが付かない情勢になりつつあったのです。
こうした複雑な成立経緯を持つ為に未だに「ハンターシリーズ」には沢山の冠がつくことになっているのです。
元々キャパシティがそれほど大きくない駄目社員の私は徐々に活動のフィールドを自分のホームページのみに限定していくことになるのですが、その間にも掲示板を使う形で投稿が続きます。
ま、私も「30万Hit記念企画」などと煽った側面もあるのですが。
「少年少女文庫」の掲示板で「何故この人たちはみんな苗字が『半田』なんですか?」とか「この人たちはどうして華代被害者を元に戻せるのですか?」といった質問が出た時にはある意味感無量でした。
「そんな事も知らずに読んでいたのか!」という怒りなんて全く無く、「そんな事も知らない人まで読んでくれてる!」という喜びの方が大きかったんです。
今は亡き「TS-WEEK」で「華代ちゃん」の新作を「定番だから今更取り上げるのもなあ」とか「またかよ!」「ワンパターン」的なことを書かれた時にガッツポーズをしたのと似たような感慨です(^^。
ま、勿論ちゃんと読んで欲しくはあるんですが…。
混乱気味だった各小説にもどうにか「通し番号」を付けることで統合性を持たせ、後から投稿された作品はその後に追加していくという泥縄式での運営が続きます。
この頃はどんどん増え続ける作品群をどの様に扱っていいのか困惑し続けていた時期でした。
ですので、この時に「文庫」さんと枝分かれする形になってしまい、全く同じ作品番号を持ちながら別作品でかつ文庫さんにのみ存在するハンターシリーズが幾つもあります。
かといって「混乱するので『少年少女文庫』への投稿は止めてください」などと言える訳もありません。
この辺は今も根本的には解決していない問題です。
今でこそハンター全体が見渡せる表が2種類も存在していますけども、マコトさんが精力的に一覧表をまとめてくれるまでは「今どの番号が開いているのか?」すら分かりにくい有様でした。それでいてお手つき申請が後を立たないのですからあの頃は本当にご迷惑をお掛けしました…としか言えません。
ここは私の考え方ですが、「多くの人に読んでもらう」ことを目指すアマチュア小説に挿絵は必須だと思っています。
確かにイラストは想像力の上限を規定してしまいますが、逆に言えば最低線も守ることが出来ます。
皆さんもちょっと考えてみて欲しいのですが、適当にネットサーフィンしていて「完全オリジナルの小説」があった場合、それをいきなり熱心に読みますか?
よほどの速読能力(?)があればともかく、普通はそんな疲れることはしないでしょう。
しかし、ここにイラストがあればかなり情勢は異なります。
少なくとも“直感的”に何が起こっているのかは分かります。
立っている人物のイラストがあれば、座っているとは思わないでしょ?
ぶっちゃけた話、私自身はインターネット上に小説を書いてアップロードすることによって直接的には1円の利益も上げていません。というか腐っても有料ホームページですし、イラストも一枚幾らの報酬を多くない給料から全部自腹で支払ってますから完全に赤字もいいところです。
では何故そんなことまでしているのか?と言えば、それは「サービスしたいから」です。
自分が子供の頃には存在していなかった「TS創作小説」を過去の自分を読者に想定してバンバン提供し、楽しんでもらう為です。妙な言い方ですが「情けは人のためならず」みたいなもんです。勿論私自身が読者として楽しみたいということもありますが(^^。
ですから、自分の小説の芸術性だの文学性だのはどうでもよくて「分かりやすいこと」が何より優先されるのです。
極論すれば全部漫画かアニメで発表したいくらいです。
しかし、私自身は絵が描けませんし、アニメを作る資金力もありません。
ですから「仕方なく」小説を書いているに過ぎないんです。
数年前に有志のボランティアでイラストレイターさんがイラストを差し入れてくれたことがありました。
これを機会に一部の作品にはその時点でイラストが配されることになりました。
ただ、本格的な「大作」(「おかしなふたり」のウェディングドレスFlashみたいなのを想像してください)を作ろうとするにあたって大喧嘩して決裂し、貴重なイラストレイターを失ってしまったのです。
ですが、少し経ってから「他人に有償でイラストを描いてもらう」悪魔のアイデアに取り憑かれます。
友人・知人には大学でオタク系のイラスト・漫画サークルに所属しているのもいましたが…経験のある方はご存知の通りこいつらは怠け者なので幾ら言っても何もしやがりません。どれだけ「報酬はちゃんと払うから」と焚きつけても無駄でした。
「小説」などという「面倒くさいもの」をふらりと立ち寄っただけの赤の他人に「読んでもらう」いや「読んでいただく」にはそりゃあもう、大変な努力と創意工夫が必要です。
ただ書いて無造作に置いておけば不特定多数の読者が読んでくれて励ましの書き込みをくれるなんてのは幻想です。
「これでもか!」というほどサービスし続けて100のサービスの果てに1の感想が貰える…というのが実際のところでしょう。
私は実は小説の数で言うとそれほど多くを発表している訳ではありません。本家「華代ちゃん」も私より沢山書いている方は風祭さんを始めとして大勢いらっしゃいます。
私は数を増やすよりも、一作一作を大事にしてイラストを付けるなり『しっかりフォロー』することの方が大事だと常々感じておりました。
実際、かなり初期に投稿した「少年少女ギャラリー」などへの作品には非常に強い愛着を持っておりますし、基本的には新作の追加は「おかしなふたり」の毎日連載のみ程度に留めて、過去の作品へのフォローに努めようと考えていたのです。
何しろ「基本的には全て漫画かアニメで発表したい」と思っている人間ですから、「文字に対するイラストの割合」のパーセンテージを上げていくことは最大の目標の一つでした。
その目論見は今も世界中のTSファンに親しまれている「おかしなふたり」ウェディングドレス変身Flashなどである程度は達成出来たと自負しております。
私の目標はあのレベルの作品を「毎週」提供し続けられるだけの体制を整えることであり、今もそれに向かって日々努力しているところです。
実際、それに近い企画が今現在も複数同時進行しており、着々と野望に向けて近づいているところです。ふふふふふ…。
そして、それらの活動にしたところで試験勉強の合間の「片手間」でやらざるを得ません。
この「試験勉強」とは何かと申しますと今現在私が勤めている職場において必要となる国家資格のことです。
駄目社員の私ですが、「食うため」に何とかこの資格を取得しなくてはなりません。別に出世・栄達を目標にしている訳ではありませんが、最低限の生活を維持するためには是非とも取得しなくてはならないのです。
本来ならばホームページの更新なども一切停止し、試験が終了するまではPCのスイッチも入れない位の覚悟がなくてはならないところです。
しかし、流石にそういう訳にもいかないでしょう。
それに、プロの方にイラストを依頼するという行為は言ってみれば「待つことが仕事」みたいなところがあります。
まだセミプロにイラストの仕事をお願いするということの要領がつかめていなかった時代、僅か数人に対してお願いしていたんですが…出来なかったですねえ…。
こちらの「スピードに対する」理想が高すぎることもあるんですが、それにしても打ち合わせその他に難航し、理想は週一かせめて二週に一度の更新だったのに二ヶ月も同じトップだったりしたこともありました。
この時期の私の煩悶をご理解頂けるでしょうか?
個人的には1日に10枚のイラストを追加しても飽き足らないとすら思っているのに2ヶ月に一枚しか追加されないと言うこの状態を!
つまり、「イラストの依頼」だけは「時間(期間)が掛かる」ものであり、それでいて「作業効率に対して効果が高い」ものでした。何しろ「待っている時間の方が長い」んですから。つまり作業時間(メールを打っている時間)は短くて済む、と。ただ、「期間」は長いです。お分かりでしょうか(^^;;。
要は「片肺飛行」の最中にも細々と続けるにはうってつけだったのです。どうせ『期間』が掛かるのですから。
そこで活動を「おかしなふたり」の毎日更新とイラストの打ち合わせだけに限定し、試験勉強に掛かりきりになろうとしていたのです。
…ところがここにきて思わぬ珍客が乱入して参りました(^^。
言うまでも無く「ハンターシリーズ」です。
私自身の作品遍歴をご覧になればお分かりの通り、ある時期から全くハンターシリーズを執筆しておりません。
それはこれ以上「小説」を追加し続けると「イラスト比率」がぐんぐん低くなってしまい、親しみにくいホームページになってしまうという危惧による自衛本能でした。
私自身の不甲斐なさと甲斐性の無さでイラスト生産能力は…“質”的には望みうる最高レベルでありますが…こと“量”に掛けては満足の行く水準では全くありません。
この状態で小説を増やす訳にはいかなかったのです。
本来この「片肺飛行」の期間中は「おかしなふたり」以外の小説は増えない予定でした。私自身が書かない訳ですから、少しずつではあるもののイラストだけが増え続けるはずだったのです。
ところがその思惑をよそにハンターシリーズの投稿は引きもきりません(爆)。
正直、悲鳴が出そうでした(^^;;。
私の価値観では、読者が覚える暇も無く新キャラを追加し続けるなどは暴挙の極みであり、絶対にあってはならないことなのですが新規参入者の方は「自らのキャラを追加したい」という欲求の元にいらっしゃるので、「1作者1新キャラ」を越えた状況にすらなってしまいました。
…ところが「番号かぶり」以外の禁止事項がほぼ無い状況での無節操な追加解放状態が数々の名キャラを誕生させたのですから本当に何が幸いするか分かりません。
中には「ハンターでない」居候だのわけの分からんのまで一杯いて物語りに大いに華を添えてくれています。
ハンター達のキャライラストは当初から付けていく積もりでした。
最初の頃は本当に1号と5号、そして30万Hit記念企画で描かれた28号(とガイスト)しか無かったものです。
この「ハンターイラストの追加」について「意欲的な試みである」と評価してくださる向きも多くて恐縮なのですが、私がどうしてあんなにキャライラストの製作に熱心であるかというと、「それを元にイラストを描いてもらう資料にする為」なんです。
実際この頃はイラストレイターさんへのキャラ発注もWikiのキャラ個別ページへのURLを教えればいいという状況になりつつあり、非常に重宝しております(^^。
特に「ハンターミニミニ劇場」を漫画化する際に頭を抱えたのは、設定画の無いハンターが多すぎてまともに発注出来ないことでした。
あの時期にイラスト化されたハンターたちは「ミニミニ劇場に出演している」という理由が大きいのです(例:10号、14号&31号、安土桃香など)。
また、「旬」の作家さんをフォローしたいという欲求もありました。
当時、鬼神の様な創作量を誇っていたyukさんの「半田ケイ」や「いち子」などがそうですね。
全ては逆算であり、表に現れているのはホンの一部です。
先日遂に本文イラストが登場した「33 誰にも聞こえないあの歌を」ですが、これによって何を狙っているかと言えば「小説本文を読んでもらうこと」ですよ。
ウチのホームページには毎日ユニークアクセスで3,000人の方がいらっしゃいます。
現在(このあとがきを書いているのは2007年3月1日)は2日に1枚の頻度でトップイラストを更新していますので、仮に6,000人の方があのイラストを見る機会があったとして、1,000人に1人がイラストをきっかけに小説を読んでくれれば6人の読者をイラストによって獲得したことになります。
…つまりこういうことなのです。
そしてこのイラストも「藤美珊瑚(さんご)」の設定画が無ければ発注そのものが出来なかったのであり、あの後に登場する「浅葱千景」の設定画があったからこそ小説そのものがイラスト化の機会を得たのです。
「華代ちゃん」もそうなんですけど、私(真城)はこの「ハンターシリーズ」に関しては特にこれといった宣伝活動とか作品募集とかは何もやっていないのです。
30万Hit記念企画の時はともかく、1桁しかいなかったイラストレイターさんにどうにかこうにか既存の小説に全て絵をつけてもらおうとしていたのですから、下手に作品が増えると全く追いつかなくなるため、寧(むし)ろ作品投稿は控えてください、と言おうとしていたんです。
しかし、元々募集していないところにガンガン来るのですからこれは止めようがありません。
これは本当に有難いことです。
世の中には盛り上げようとしても全く盛り上がらない作品なんて幾らでもあるのに、こんなに読者の皆さんが自主的に盛り上がってくださる作品世界になったのですから。
確かに大変ではあったのですが、ここは私の「クリエイターの端くれとしてのカン」が働きました。「この勢いを押し留めてはならない。管理する側がどれだけ大変でも行き着くところまで暴走させるべし!」と。
そして実際その通りにいたしました。
「統合性を維持する」点が大変になってきて私一人では管理しきれなくなって来ました。
そろそろ新たにハンターシリーズに参入される方が直面するであろう「全ての作品を読破する」ための一助としての「イラスト添付によるリーダビリティの向上」を本気で目指さなくてはならない時期へと差し掛かってすらいたのです。
自慢じゃありませんが私はとても事務処理能力が低いので、掲示板に書き込みのついでに投稿される「ミニミニ劇場」はたった一編でもパニックものでした。
新たに項目を作り、ハンターシリーズナンバーを振り、リンクを張って…という作業そのものはそれほど複雑なものではないのですが万が一のミスも許されませんし、何しろ記憶力がそういい方ではないので数十人に及ぶハンターたちがそれぞれのキャラの特徴を活かして縦横無尽に活躍する「ミニミニ劇場」は、通称で書かれていたりすると既にどのキャラが誰でどんなキャラなのかも分からないほどの百花繚乱ぶりだったのです。
一人の新キャラを新しく立ち上げようとした場合、私の価値観では最低でも10枚のイラストと10回の紹介が必要です。
久しぶりの新作となった「珊瑚の研究」をお読みになった方ならお分かりの通り、あそこでほぼ全ての設定を語りなおしています。
「珊瑚の研究」に限らず、私はキャラが登場したならば可能な限り紹介は繰り返します。「ハンター」世界の仕組みすら何度も書きます。
これは「その一編のみを読む読者への配慮」も勿論ありますが、そもそも人間の記憶力を自分を基準にして低く見積もっているからです。
設定その他を自分で作り上げた作者本人ならば当然深く深く知っていることであっても、作者以外の人間には馴染みの無いお話です。
ですから手を変え品を変えて全く同じ説明だろうと何度も繰り返すのです。本文中に一回書いただけ、或いは匂わせただけの「設定」がその後完全に定着するなどと考えるのは…表現がキツいですが…ムシのいい話です。
事実、文庫の掲示板においては「何故ハンターたちは華代被害を元に戻せるのか?」といった根本的な疑問も出て来たでしょ?
ただ、そんなところまで全ての作者に強要していたら自由度が阻害されますし、全編がこれパロディになっている「ハンター・シリーズ38
華代ちゃん&いちごちゃんオールスターズ『シン☆レラ』や「ミニミニ劇場」などでは実際問題不可能です。
ですので、それに関しては特にレギュレーションなどは設けておらず、好きに書いていただいています。
つまり、これらのフォローは全て管理側である私が行わなければならないのであり、考えるだけで頭がくらくらしたものです。
仕事が忙しいのは勿論のこと、日常生活においても腰痛と戦いながら試験勉強をしなくてはならないのでホームページ運営に時間を裂けない私としてはせめてイラストを新ハンター提案者(作者)と打ち合わせながら提供し続けることで最低限のフォローに回り続けるしかありませんでした。
しかし、その間にもハンターシリーズは増え続けます。
今も好評ですがこの頃は本当に凄くて、1人のキャライラストが完成すると小説が2作品が増え、ミニミニ劇場は5作品増えるといった状況でした。
しかもイラストがついたことでイメージが加速されるのか、尚作品が増えるという有様。
そこで「こんな調子では全く追いつかない」とイラストレイターさんを2006年10月に大量に増員して増産体制で臨みました。
お陰さまで少しイラスト生産量は増えましたが、同時に深刻な経済的逼迫を引き起こし、世に言う「鼻血も出ない」状況に陥りました。
実はアフェリエイトを始めたのはこの頃(2006年11月5日)です。
本当に「苦し紛れの窮余の一策」というところ。幸い、機会を作って紹介したい作品はごまんとありましたし、サイトの趣旨とも一応は一致します。実際に収入が振り込まれるのは数ヶ月も先であったのでこの頃の窮状は全く変わらなかったのですが、それでも明るい明日を信じて毎日レビューの更新に勤しみました。
お陰さまで現在も好評です。「赤字を少し減らせている」程度の収入ではありますが本当にありがたいです。
この「ハンター運営委員会」発足直前は相当テンパっておりました。仕事は忙しい、試験勉強はしなくちゃならんという状況でありながら作業は爆発的に増え続けるのですから。
私に出来ることと言えば自腹を切り、イラストレイターさんと作者さんを繋いで少しでもイラストを提供すること程度しかありません。
にも関わらず投稿は引きもきらず、ということはつまり「イラスト比率」は物凄い勢いで下降を続け、更に未整備の設定が雪だるま式に拡大の一途を辿ります。
加えて新進気鋭のあむぁいさんの猛烈な追い上げ。
「これはこの程度では全く追いつかない」とイラストレイターさんを更に増員。量産体制を整えますが、それは更なる経済的窮状を同時に意味します。
仕方なくアフェリエイトのコンテンツの充実を図り、利益を見込んで商業作品を買ってレビューし、その収入をイラストレイターさんの報酬に充て…という完全な自転車操業状態。
特に後半になると、漫画などでは引用の為のコマが多数に渡り、スキャン画像を変換してトリミング・リサイズする作業だけで1時間、執筆・編集には更に2時間といった膨大な時間を消費する化け物へと変貌していました。
単なる余技であったはずの「ハンターシリーズ」がこの頃は完全に生活のメインでした。
ここまで読んでこられて「何故そこまでやるのか!?」と思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、ここまでやって初めて「現状維持」が出来るものなのです。
「ハンターシリーズを盛り上げよう」と粉骨砕身しているのではありません。
私に言わせれば卑しくも他人に自らの創作物を読んでもらおうとするからには「この程度はやって当たり前」なのです。
現在は、自分の小説は全て後回しにし、他の作品に取り掛かってもらっていたイラストレイターさんのシフトもかなりの人員を「ハンター」につぎ込んでいるところです。
はっきり断言しますが、「完全解放」状態でありながら「シェアードワールド」であるこのシリーズから一瞬でも手綱を緩めれば容易に混沌に陥って空中分解するか、或いは放置されていつの間にか失速していきます。
私としては「次元管理人フォスター」などは単に新作を書く余裕が無いだけのことですが、文庫の掲示板では「すっかり冷え込んだシリーズ」扱いをされています。
ハンターシリーズもこのまま「読むことも容易でない膨大な作品群」「誰も把握できないほど複雑で入り組んで、それでいて大量の設定郡」が山積みになるだけであれば同様の運命を辿る可能性は大いにあります。
私としてはこれだけ盛り上がっているシリーズを何とか縁の下の力持ちとして支え続けたい気持ちはあったのですが、いかんせん処理能力とそして経済的な限界が近づいていました。
そんな時、ボランティアの方がハンターページそのものを管理・運営して下さると仰っていただけたのです。
もう本当にハンター運営委員会のあのよろしさん、高樹ひろむさん、マコトさん(50音順)には足を向けて眠れません。
矢継ぎ早に繰り出されていた作品群を受容できる体制が整うと同時にぴたりと投稿が沈静化したのは何ですが(爆)、ともあれ単なる思い付きだったこのシリーズはここまで成長し、遂に100作品という冗談みたいな数字に到達いたしました。
とっくの昔に私の執筆作品数を皆さんによる投稿作品が上回りました。
しかもそれぞれの作品が独立して存在するのではなく、お互いがお互いのキャラクターを使って遊ぶという実にクリエイティブな知的遊戯が展開されているのです。
丸っきりのオリジナルの世界観で、しかも「新規投稿設定が累積する」「全ての作品が続編」という状態で100作品を越える作品が集まるというのは全世界見渡してもそれほど例は無いのではないか?と勝手に自画自賛しております。いや、今や活躍しているキャラクターたちはその大半が私以外が生み出したキャラクターたちですから私一人の自画自賛という訳ではありませんね(^^。
何度も言いますが、「おかしなふたり」や「華代ちゃん」ならばともかくも、こと「ハンター」シリーズに至っては私は何もやっておらず、皆さんが夢中になって色々遊んでくださるのをあわあわ言いながら眺め、そして追いかけていただけに等しいのです。
本当にありがとう御座います。
これからもハンターシリーズをよろしくお願いいたします!
2007.06.01.Fri.