「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠

「ハンターシリーズ06」
(「いちごちゃんシリーズ」)

『いちごちゃんお手伝い!』
作・真城 悠 

 俺は「ハンター」だ。
 不思議な能力で “依頼人” を性転換しまくる恐怖の存在、「真城 華代」の哀れな犠牲者を元に戻す仕事をしている。
 最終的な目標は、「真城 華代」を無害化することにある。
 とある事件――というか「華代被害」――に巻き込まれた今の俺は、15〜6歳くらいの娘になってしまっている。その上、ひょんなことから「半田 苺(はんた・いちご)」を名乗ることになってしまった。
 華代の後始末の傍ら、なんとか元に戻る手段も模索している。

 さて、今回のミッションは……



「おい! こっちでいいのか!?」
 今日はメンバーの一人が引っ越すので、その手伝いに来ている。
 ……どうも日々ミッションから離れている気がするが、まあこれもサラリーマンの辛いところだ。
 同僚の数人がこの手伝いに引っ張り出されていた。いちごも頼まれて参加したのだが……どうも雰囲気がおかしい。
 それもそのはず……暑いので薄手のシャツを着て、下はいつものジーンズ――という活動的なその格好が、いちごの健康的な魅力を周囲にこれでもかとばかりに振り撒いていたのだから。
 首筋で束ねた長い髪。その結び目から、汗ばんだうなじが露出して……
「うわっ!」
 足をもつれさせ、思い切りその場で転んでしまうハンター職員の一人。段ボール箱の中身が飛び出し、周囲にまき散らされる。
「おいおいっ、何やってんだよっ」
「あ、ああ……」
 こいつがいちごのうなじに見とれて蹴つまずいたのは、もちろん言うまでもない。
「しょーがねーなー」
「あ、いいよ自分で拾うから――」
「いいからいいから……」
 一緒にしゃがみこんで拾ってくれるいちご。思わずその胸元に目が……
「うっ」
 ……鼻血を噴き出してしまう。



 ふと気が付くと、引越しに参加していたハンター職員の多くが宙を見上げて、休憩(ぼーぜん自失)モードに入っていた。
「全く…………しっかりしろよお前ら……」
 そういう当人が全く無自覚なのも困りものだが、そもそもこの組織の編成自体に問題がある気がする。
「おーいいちごっ! ちょっと頼む!」
「おう!」



 車をバックで指定の位置まで動かすべく、いちごはその運転席に座った。
 実年齢15〜6歳では免許など無いはずなのだが、元は工作員である。運転ならお手の物だ。
 ……もっとも、今はシートを一番前まで動かさなくてはならないが。
 車のそばでは、何故か壁にペンキを塗っている者がいた。
「よいしょっ」
 何の気なしにそのルーフにペンキ缶を置く。
「……じゃあ動かすぞっ!」
 窓から顔を出して後ろに叫ぶいちごは、それに気付いていない。
「あっ! ちょっと待てっ!!」
 構わず後退する車。……その瞬間、ペンキ缶が前方に倒れた。


「また引き篭もっとるのかあいつは」
「そうみたいですね」
「で? 今度の原因はっ?」
「はあ……何でもルーフの上のペンキ缶が倒れて、中身が思いっきりフロントガラスにぶちまけられたらしいんですよ」
「……それだけか?」
「それが、赤色だったらしくて――」
「何となく読めてきたんだが…………それで悲鳴を上げたんだろ……」
「それも、『きゃーっ!』ってな具合に――」
「…………」
「まあ、ショックな事はショックだと思いますが……」

「……いいから出させろ。今日は身体測定だ」