「華代ちゃんシリーズ・番外編」 「ハンターシリーズ」 「いちごちゃんシリーズ」 ![]() 作・真城 悠 |
ハンターシリーズ11 (いちごちゃんシリーズ) 『いちごちゃんファイト!!』 作:真城 悠 |
俺は「ハンター」だ。 不思議な能力で “依頼人” を性転換しまくる恐怖の存在、「真城 華代」の哀れな犠牲者を元に戻す仕事をしている。 最終的な目標は、「真城 華代」を無害化することにある。 とある事件――というか「華代被害」――に巻き込まれた今の俺は、15〜6歳くらいの娘になってしまっている。その上、ひょんなことから「半田 苺(はんた・いちご)」を名乗ることになってしまった。 華代の後始末の傍ら、なんとか元に戻る手段も模索している。 さて、今回のミッションは…… ふうっ、今日は珍しく何も起こらないな…… いちごはミッションの帰りだった。今日は何の滞りも無く「華代被害」の被害者を元に戻せたのだ。 ……と、何やら不穏な光景が目に入った。 道端でおとなしそうな女の子が、柄の悪そうな男に絡まれているではないかっ! 「ねえねぇ〜ちょっとぐらいいいじゃんかよぉ〜」 「や、止めてください……」 知能指数が二桁あるのかどうか怪しい馬鹿面(づら)だった。……ミッションとは関係ないが、やらずばなるまい。 「おいっ! そこの間抜け!」「ああ〜ん、……なんだぁ?」 いきなり声をかけてきた相手が15〜6歳の少女だったことで、なめてかかっているらしい。 「いいから離れろ。……今ならそれだけで許してやる」 これはあながち冗談ではない。いちごは見かけは少女でも、その戦闘力はグリーンベレー並なのだ。 「うるせえ!」 いきなり掴みかかってくる男。 「やれやれ……」 一分も経たないうちに、その男は地面に伸びていた。 うかつに話し掛けられないよう、すぐさま気絶させることも忘れない。……前回の二の舞はごめんだ。 「ふうっ。……おい、大丈夫か?」 そして、少女の方に声をかける。 彼女はうるうるした目でいちごを見詰めていた。 「また引き篭もっとるのかあいつは……」 「はあ。また人助けをしたらしいんですが――」 「また告白されたらしいんですよ」 「人気あるな……」 「……助けた女の子になんですけど」 「は?」 「しかも文学少女だったらしくて、毎日のように『愛しのおねえさま』から始まる手紙が届くとかで――」 「いいから連れ出せよ。備品運びの雑用があるんだから……」 |