「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠

ハンターシリーズ12
(いちごちゃんシリーズ)

いちごちゃんフィーバー!!

作:真城 悠

 俺は「ハンター」だ。
 不思議な能力で “依頼人” を性転換しまくる恐怖の存在、「真城 華代」の哀れな犠牲者を元に戻す仕事をしている。
 最終的な目標は、「真城 華代」を無害化することにある。
 とある事件――というか「華代被害」――に巻き込まれた今の俺は、15〜6歳くらいの娘になってしまっている。その上、ひょんなことから「半田 苺(はんた・いちご)」を名乗ることになってしまった。
 華代の後始末の傍ら、なんとか元に戻る手段も模索している。

 さて、今回のミッションは……


 ふうっ、今日のミッションもうまくいったぞ……。

 とは言うものの、「華代被害」がらみの件ではない。
 どうも「ハンター」は「華代」以外にも手広く手掛けているらしい。中には国家規模の諜報活動(エスピオナージ)とかもあるらしいのだが、今日のいちごの仕事は行方不明の猫を探すことだった。
 ……この組織は一体何なのか? まあ、業務拡張の一環なのだろう。まともな仕事もその内回ってくるさ。多分。
 すっかり遅くなってしまった。
 あたりはもう暗かった。いちごは珍しく都会の真ん中を歩いている。
 この姿になる前から、夜の歓楽街にはあまり立ち寄らない方の人間だったので、少々あたりが物珍しい。

「おうおうっお前らぁ!!」

 だみ声があたりに響き渡った。
「どうなるっかわぁってんだろうなっ、ああ〜っ!」
 ……やくざだった。
 人目もはばからず、派手な服装の女性たちに怒鳴り散らしている。
 やれやれ……監視カメラも怖くないのか。
 少々あきれるいちご。おそらく風俗店の店員とそれを仕切っているその筋の者――という構図なのだろう。
 「商売品」に手をつけるとは思えないが、あの様子は常軌を逸している。もしものことがあるかもしれない。
「……おい、おっさん」
 自分より遥かに高いその肩を、ポンポン……と叩く。
「んん? 何だテメエは?」
「何でもいい。そのくらいにしときな」

 どうもこういう時に低音でしゃべろうとすると、「宝塚」みたいになって嫌なんだよな……

 やれやれ、また無償の人助けか。
 今回は助ける対象が色気づいた野郎でも、恋に恋する恋子ちゃんでもない、大人の女性たちであることを確かめて……いちごはそのやくざをボコボコにした。
 いろいろとストレスが溜まっている…………らしい。


「また引き篭もっとるのかあいつは」
「はあ……また人助けしたらしいんですけど」
「目立たせるなよ。一応秘密組織なんだから――」
「それがその……」
「何だよ? また血気盛んな男子高生にでも告白されたのか?」
「いえその……何でもニューハーフのお姉さんたちを助けたばっかりにモテモテになってしまったらしくて」
「…………」
「その上あの “なり” で、しかもあの言葉使いですから、その…… “お仲間” だと思われたらしくて、余計にオモチャ状態に――」
「“オモチャ状態”って、まさか……」
「いえ、18禁なしの方針なんで、それはたぶん大丈夫だと思いますけど……」

「いいから早く出せ。心理テストやるから」