「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠

ハンターシリーズ15
(いちごちゃんシリーズ)

『いちごちゃんコンテスト!』

作:真城 悠
*この作品は、「少年少女ギャラリー」投稿作品「委員長はメイドさん?」(作:真城 悠)のサイドストーリーになっているみたいなので、読んでおくのもいいかもしれません。


 俺は「ハンター」だ。
 不思議な能力で “依頼人” を性転換しまくる恐怖の存在、「真城 華代」の哀れな犠牲者を元に戻す仕事をしている。
 最終的な目標は、「真城 華代」を無害化することにある。
 とある事件――というか「華代被害」――に巻き込まれた今の俺は、15〜6歳くらいの娘になってしまっている。その上、ひょんなことから「半田 苺(はんた・いちご)」を名乗ることになってしまった。
 華代の後始末の傍ら、なんとか元に戻る手段も模索している。

 さて、今回のミッションは……


「あ、ありがとうございます……」
 目の前に、気が弱そうな……それでいて知的な雰囲気を漂わせた眼鏡の男子高生がいる。
「まあ、いいってことさ……」
 そう言いながら、いちごは道具を片付け始めた。
「それにしても……妙な習慣のある学校だな」
「そ、そうなんですよ! 何でも『委員長はメイドさん』だからって……何が何だかサッパリ…………」
「まあその……なんだ……」
 なぜかちょっとだけ照れているいちご。「……早いとこ、その格好を何とかするんだな」
「あ……」
 言われて赤くなる少年。
 そう、彼は身体こそ元に戻ったものの、メイドスタイルはそのまんまだったりする。
「流石のオレも、自分で着替えた服までは元に戻せん」
「あ……は、はい!」
 少年は、あわててスカートを脱ごうとする。
「おい! ちょっと待てよっ! そ、外出るから……」
「あっ……す、すいません……」

 な、何 “男の着替え” にときめいてるんだ? ……い、いや気のせいさ! 気のせい!

「……お姉さん、折角だから、うちの文化祭を楽しんでいってください」


 ……という声を最後に校舎から出て、そこらへんをブラブラしだすいちご。

 ふん……模擬店に似顔絵…………なかなか本格的じゃないか。

「あっ! そこの人!」
 その時、横から彼女を呼び止める声が。
「……ち、ちょっといいですか?」
 これまた誠実そうで、かつひ弱な感じの男子高生である。
「あの……この辺にあなたみたいな感じの男性って、いないですかね?」
 質問の意味が分からず、少し戸惑ったいちごだったが、すぐに答える。
「オレは男だ」
「……え?」
 その男子高生が戸惑うのも無理は無い。
 色気ひとつ無い格好ではあれ、後ろで縛り上げた長い髪や、何よりその可愛らしい顔は、どう見ても男のものではなかったのだ。
「あの……本当に男の人ですか?」

 ……う、うるさいなあ……確かに今は生物的には女だよ! で、でもなあ……オレは男なんだよっ!

 いちごはヤケになっていた。
「ああ、正真正銘男だ」
「……じゃ、じゃあその……あなたを男と見込んでお願いがあるんです!」
 ……真に受けたのか? でも、「男と見込んで」なんて依頼のされかたをするのは久しぶりだ。
 これはなんとしても引き受けなければならないだろう。
「よし! まかせとけ!」



「また引き篭もっとるのかあいつは」
「はあ……何でも文化祭の『ミスターレディコンテスト』に借り出されたらしくて……」
「反則じゃねーか」
「はい。文句無くぶっちぎりで優勝だったそうなんですが……」
「……いいから引きずり出せ。知能テストやるから」