「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠


ハンターシリーズ49
『接触と再会』
作・匿名希望



「ボス、この前から気になってた事があるんですけど」
「何だ?」
「63号の件ですよ。
 あの時何で直接話す気になったんですか?」
「ああ、あの事か。
 ひょっとしたら本当の事かもしれないって思ったから…。
 ただそれだけだ」
「本当にそれだけですか?」
「そうだ」
「そうですか。
 あ、そういえば人事部の方から連絡がありますよ」
「激しく話が飛んだなおい。
 で、何だって?」
「何でもハンターになりたいって電話かけてきた奴がいたそうですよ」
「珍しいなそりゃ。
 第一なんでこの基地の電話番号が解ったんだ?」
「さあ…、
 何ででしょうね」
「そういや何て名前なんだ?」
「ああ、変な名前だったから良く覚えてますよ。
 確か…、真沙羅・華(まさら・はな)だったと思います」
「…そうか。
 じゃあ採用するって伝えておけ。
 確か87番が空いてただろ」
「え!?
 何故ですか!?」
「早くしろ…」
「あ、はい!」
部下が部屋を出て行くのを見届けたボスはため息をつきながら呟いた。
「そうか…、
 もうそんなに立つんだな…。
 あいつに初めて会ってから…」


丁度そのころ近くの森の中では4人の少女が遊んでいた。
4人とも小学校低学年ぐらいの年齢である。
「鬼ごっこにも飽きたね。
 次は何して遊ぶ?」
「かくれんぼにしようよ!」
「賛成!」
4人のうち2人は結構盛り上がっていた、
しかし、残りの2人は相当疲れたような表情をしていた。
「先輩…、
 結構きついですね」
「今日はいつにも増して大変だし、
 特にお前は今日が初日だから尚更だよ…。
 まあ、そのうち慣れるだろ。
 それに次はかくれんぼだから楽だぞ。
 鬼にさえならなければ後は隠れてるだけだからな」
「そうですね…」
「じゃあジャンケンするよ!
 ジャーンケーンポン!
 はい、むっちゃんの鬼!」
ばたっ!
むっちゃんと呼ばれた少女が倒れた。
「どうしたの?」
ジャンケンの掛け声を出した少女が倒れた少女に声をかけた。
ちなみに、この2人一瞬双子に思えるほどよく似ている。
「いや、ちょっとめまいがしただけ…」
「大丈夫?
 誰か呼んで…」
「大丈夫だよ大丈夫!!」
「そうそう!!」
倒れた少女の他に何故か頭に兎の耳を生やした少女も叫んだ。
実は彼女達のうち3人は先程の会話をしていたボスの部下・ハンター6号(半田りく)・17号(半田伊奈)・63号(半田睦美)なのである。
そしてジャンケンの掛け声を出した少女はハンター達の宿敵とも言える存在、真城華代なのである。
何故宿敵同士が遊んでいるのか、それは話すと長くなるので省略する(おいおい)。
ちなみにこのうち睦美は華代そのものに変身した状態のハンターの新人で、
ボスに「何事も経験だ」と言われ6号と17号の任務の手伝いをしているのである(17号は素で楽しんでいるが)。
6号は起き上がった63号に声をかけた。
「…頑張れ」
「…はい」


丁度その頃、ハンター基地へ向かう道路上を1人の女が歩いていた。
彼女の名は半田双葉、ハンターの非常勤職員である。
今日は高校のテストも終わって久しぶりの出勤なのである。
「ふう…、
 この道通るのもひさしぶりね…」
「すみません。
 ちょっと…」
歩いている彼女に誰かが突然声をかけてきた。
声のした方を向くとそこには20代前半の女性が立っていた。
「ハンター基地はこちらでいいんでしょうか?」
「いや、貴方だれですか?」
「あ、申し遅れました。
 私は真沙羅・華と申します。
 今日付けでハンターのメンバーに入る事が決まりました。
 ハンターの関係者様ですよね?
 よろしくお願いいたします」
「え、ええ…」


一方森の中では、
63号は迷っていた。
「ここは…、
 何処?」
どうやら隠れている皆を探している途中で道が解らなくなったらしい。
「お〜い!
 6号先輩〜!
 華代ちゃ〜ん!
 17号先輩〜!」
大声を上げても誰も来なかった(ちなみに名前は頼りになりそうな順)。
途方にくれたそのとき、
誰かが走ってくるような音が聞こえた。
「あ、助かった…」
走ってきたのは真城華代だった。
だがさっきまで遊んでいた華代とは雰囲気が少し異なっている。
まるで何かに怒っているようだった。
しかし63号はその事に気がついていないようだ。
「華代ちゃん!
 皆何処に…」
「見つけましたよ!!
 何度言ったら解るんです!?
 業務中に遊んじゃ駄目だって!!」
「え、いや…」
「問答無用です!」


「睦美は見つかったか!?」
「駄目!
 見つかんない…」
「あたしが行こうか?」
「伊奈はそこから動くな!
 迷子が増える!」
「じゃあ婦警さんに頼んで…」
「それも駄目!
 第一婦警さんは街中専門なんだ!」
「そうだったんだ…、
 知らなかった…」
大騒ぎだった。
ちなみにさっきから突っ込みをいれているのは6号である。


「すみませんでした!
 まさか人違いとは気づかず…、
 こちらの不注意でした!」
「いや…、
 それより真城華代っていっぱいいたんだ…。
 しかも性格がまともな華代まで…」
「あ、はい!」
「で、僕たちを元に戻してくれないかな?」
「無理ですね」
「何故!?」
「私達真城華代の性転換能力は万能というわけではありません。
 例えば『♀→♂の性転換が出来ない』というように各自何らかの不得意分野を持っているのです。
 私の場合は『ハンター能力を持つ人間の性転換』なのです」
「あ、そう…。
 じゃあ質問お願いしていいかな」
「はい」
「そもそも真城華代って何なの?」
「それは…、
 実は私どもにも良く解らないんです。
 基本的に我々が増えるのは貴方のように私達と同じになりたい等のご依頼によってお客様を真城華代に変身させるからなんですが…、
 それはあくまで自分と同じ存在にするだけであってどんな存在にするのかは解っていないのです」
「はあ…、
 そうすか…」


6号は17号の所に戻った。
「まだ華代も63号も戻っていないか…」
「どうしよう?」
「どうしようと言われてもな…」
「う〜ん…、
 あれ?
 誰か来るよ」
「ん?
 あれは…、
 双葉か。
 久しぶりだな」
「でも一緒にいる女の人誰だろ?」
「さあ…」


「えっと…、
 他に聞きたいことはありますか?」
「じゃあ…、
 真城華代は何故年をとらないんだ?」
「わかりません」
「わからない事だらけだな…」
「ただ真城華代自体が年をとらない物としか言いようがないんですよ。
 中には例外的に年をとる華代もいるらしいですけどね」
「いるんだ…」
「ええ。
 その場合は途中でセールスレディをやめるのが普通ですからあまり知られてませんけどね」
「じゃあ普通の人達の中に紛れ込んでたりもするんだ」
「私も実際にそのような仲間に会った事が無いのではっきりとは言えませんけど…」


「双葉お姉ちゃん!
 誰その人?」
「あ、伊奈ちゃんにりくちゃん。
 この人そこであった新しいハンターらしいの」
「そうなんだ」
「真沙羅・華です。
 貴方もハンターなんですか?」
「うん!
 りくちゃんもだよ!」
「そうか…、
 最近はハンターも人材不足みたいね。
 こんな子供も採用してるみたいだし…」
「いや、俺達は華代被害者で…」
「そういえば双葉さんも高校生みたいだし…、
 ハンターの平均年齢って年々下がってるのかしら…」
「人の話を聞け!」


「もう聞きたい事はないですか?」
「いや、とくには…」
「そうですか…、
 ん!?
 この反応は…」
「どうしたの?」
「ついに見つけましたよ!!」
そういうと華代は走り去っていった。
「結構重要な事を聞いたな…。
 後は…、
 …あ、
 道案内してもらえばよかったな…」
後の祭である。


その頃ハンター基地では…、
「みぃ、
 調子はどうだ?」
「大丈夫です」
「そうか
 電子頭脳よし。
 残るは華代センサーと駆動系だな…」
丁度14号(石川・恭介)がアンドロイドのハンター・31号(石川・美依)のメンテナンスをしていた。
前に63号に突撃した時から調子が悪いらしい。
「え〜っと…、
 これをこうして…」
そのとき突如31号の表情が変わった。
「目標Kの反応を感知。
 今より行動に移る」
そう言うと31号は起き上がると走り出した。
「ちょっと待て!
 まだメンテナンスは終わってないぞ!」


「というわけでボス、
 この人が新しく仲間になる真沙羅・華です」
「よろしくお願いいたします」
「そうか。
 今日からよろしくな」
「はい」
「ところでりく、睦美はどうした?」
「森で迷ってるんですよ!
 早く探してください!」
「落ち着け。
 すぐにいちごにでも…」
どごおおおん!!!!
森の方から凄い音が聞こえた。
「何の音だ?」
「さあ…」
その時司令室に14号が飛び込んできた。
「大変ですボス!
 またみぃが暴走しました!!」
「まさか…」
「すぐにあの音がした辺りを調べて来い!!」
「はい!!」
6号、14号、28号はすぐに司令室を飛び出して行った。
「睦美の奴大丈夫か…?」
「睦美ってだれですか?」
「ああ、ハンター63号の事だよ。
 華代被害者の中でも特殊な状態の奴でな…」
「特殊な状態?」
「見れば解る。
 ある意味お前と気があうかもな」
「はあ…」
「それにしても男化はできるようになったか?」
「いえ…、
 相変わらずそれは出来ません…」
「そうか…。
 15年前とちっとも変わってないな…。
 それじゃあハンターとしての活動は難しいかもな…」
「そうですよね…」
「まあ暫くは事務でもやってもらうか」


「ボス、87号は何処に行ったんですか?」
「事務室の場所教えたからもうそろそろ着いている頃だろ。
 それより睦美はどうした?」
「いつもの川辺で哀愁漂わせてますよ。
 何か重要な情報を美依の直撃で忘れちゃったらしくて…」
「いいから早く100号の所で精密検査受けさせて来い」


『接触と再会』



おまけ


数日後、
ハンター基地喫茶室。
「なあ…、
 りく」
「どうしたいちご」
「何で双葉の奴パフェのやけ食いしてるんだ?」
「テストの点数がクラスで最下位だったらしい」
「おいおい…、
 何でだよ」
「なんでも答え書く欄を間違えたらしいぞ」


おまけ
『摂食と最下位』