「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠


ハンター・シリーズ75
『大きな……』
作・高樹ひろむ

 あたし、なずな。ブレザーの制服が良く似合う美少女です(きゃっ、言っちゃった)。以前は男の子だったんだけど、小さな女神様が現れてこの姿にされちゃったの。

 またまた今日も困ってる人の声が聞こえる、なんとか助けてあげなくちゃ。だってこの能力、そのためにさずけてもらったんだから。ね、女神様。

 たとえ火の中水の中、今日も世のため人のため、なずな行っきまぁ〜す!

 

(毎度毎度ドジばっかり踏みやがって、いいかげんにしろ!)

 

 

 

 その日、いちごは久しぶりに性転換事件があって出動し、ハンター本部へと戻ってきたところだった。

 本部の建物に近づいた時におかしなものが目に入った。見ると通気口からお尻と脚を出してもがいてる女がいる。こんなところにはまるのはいったい誰だ? 間抜けなスパイがはまったのか、それともまたあいつなのか。まあ十中八九あいつに間違いないだろうといちごは思った。

 チェックのスカート、それにこの脚。やはり間違いない、これじゃあまるで大きな……。

 

 

 

「おい、なずな。いったいどうしたんだ?」

「妖精さんを追いかけててはまっちゃったんですぅ〜、助けてくださぁ〜い!」

「全くいつもこれだ、引き抜いてやるから待ってろ」

 いちごはなずなを引き抜こうとした。

うんとこしょ、どっこいしょ。

 

けれどもなずなは抜ける様子も無し。

 

 

 

 そこに7号が通りかかった。「お〜い! ななちゃん」「なんだ?」

「なずなのやつが引っかかったんだ、抜くのを手伝ってくれ!」「わかった」

 いちごがなずなをひっぱって、7号がいちごをひっぱって……。

うんとこしょ、どっこいしょ。

 

けれどもなずなははまったまま。

 

 

 

 7号は5号を呼んできた。「おーい、いちごちゃんが困ってるんだ、助けてやってくれ」

 いちごがなずなをひっぱって、7号がいちごをひっぱって、5号が7号をひっぱって……。

うんとこしょ、どっこいしょ。

 

それでもなずなはびくともせず。

 

 

 

「待て待て待て待て待て!」「しつこいなぁ、もう」

そこに来たのが千景と疾風。「おーい、手伝ってくれ! なずなが通気口にはまって抜けないんだ」

「というわけだ、一時休戦して手伝おうではないか」「……わかった」

 いちごがなずなをひっぱって、7号がいちごをひっぱって、5号が7号をひっぱって、千景が5号をひっぱって、疾風が千景をひっぱって……。

うんとこしょ、どっこいしょ。

 

それでもなずなは全く動かず。

 

 

 

「みなさん、何をしてるんですか?」「あ、双葉。ちょうどいいところに。なずなが通気口に……」

「わかりました。私も手伝いますわ」

 いちごがなずなをひっぱって、7号がいちごをひっぱって、5号が7号をひっぱって、千景が5号をひっぱって、疾風が千景をひっぱって、双葉が疾風をひっぱって……。

うんとこしょ、どっこいしょ。

 

まだまだなずなはぬけなかった。

 

 

 

「ねぇみんなー、何して遊んでるの?」「あ、りく。ちょうどいいところに。手伝ってくれないか?」

「うん、わかった。ひっぱればいいんだね」

 いちごがなずなをひっぱって、7号がいちごをひっぱって、5号が7号をひっぱって、千景が5号をひっぱって、疾風が千景をひっぱって、双葉が疾風をひっぱって、りくが双葉をひっぱって……。

うんとこしょ、どっこいしょ。

 

なずなはやっとのことで通気口から抜けることができた。

「てへへ……みなさまご迷惑をおかけしました」

 

 

 

 

 

「今度はなずなが引き篭もっとるのか」

「はぁ、ジオーネを追っかけてて通気口にはまって抜けなくなったんですが」

「そのくらいのドジ、なずなにとっては日常茶飯事だろう? それで引き篭もるなんて」

「そうではありません。その後7人がかりで何とか引き抜いたんですが、抜けた時いちごが」

「何かとんでもないことを言ったのか? なずながダメージを受けるような」

「今度から気をつけろよ、『大きなだいこん』じゃあるまいし、と言ったんです」

「それを言うなら『大きなかぶ』じゃないのか? ロシア民話の」

「そうなんですが、なずなは脚が太いのを気にしてたみたいでして」

「……首に縄をつけてでも引っ張って来い、集団性転換事件だ」