「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠

ハンターシリーズ76
『大きすぎた男』
作・yuk

 
こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。

最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、

たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。

私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

 

さて、今回のお客様は…。

 

俺がその組織の存在を知ったのは本当に偶然のことだった。

その組織は世界を何かの恐怖から守っているらしいと風のうわさに聞いたとき俺は俺の能力をその手伝いに使えないかと考えた。

これは自慢になるのだが、おれは、頭もよく、体力もあり、合法から非合法にいたるまでさまざまな技術を駆使できる。

その俺の技術をもってすらその組織の所在を明らかにするのに5年はかかった。

まさか……町内会の広報や電話帳に登録してあったなんて……

そして俺はその組織へと向かった。

 

「すまんが、うちはスカウト制で募集はしていないんだが……」

組織のボスらしきひとに会うことはできたが、いきなり拒否をされてしまった。

「しかし! この履歴書をみてくれ! 俺がほしくならないのか!?」

「……実に魅力的ではあるのだが……いくつか問題がある。」

「その問題とは何だ?」

「まず第一に、きみには我々に必要な能力が欠けている。」

「そんなものこれからすぐにつけてみせる!」

「残念ながらこれは特訓すればつくようなものではなく生まれつきの能力なんだ。」

「そうだったのか……」

「そしてなにより、君は大きすぎる。」

「は?」

確かに俺は身長体重共に重量級だがけしてどんくさいわけではなくむしろ力強いというのがその印象だ。

「とにかく、君では我々の組織に入るのは無理だ。」

 

にべもなく追い返されてしまった。

大きな体に似合わずとぼとぼと歩いていると前からこえがきこえてきた。

「おい!六号〜!華代が来たぞ〜さっさとあいてしてやれよ。被害が出る前に。」

「あぁ、一号、わかってるって」

そこにいたのはどう見ても女子高校生ぐらいにしか見えない少女とウサギの耳をつけた幼女

「あの……お嬢ちゃんたち、見学?」

ここは秘密組織じゃなかったのか? 何でこんなに若い女の子が……

「いや、俺たちはここの職員だが……あんたは?」

「ここに勤めてみたかったんだけど断られてね」

「あぁ、あんた能力なさそうだもんね。」

「それに、なんか俺は大きすぎるらしい。」

「はぁ? 大きすぎる? 元の俺や六号よりもちっちゃいぞ?」

なにかわけのわからないことをつぶやく職員だという少女。もしかしてここはこのくらいの少女でなければ入れないのか?

 

「お兄ちゃん何かお困りですね。」

「あれ? きみは? 君もここの職員?」

「か…華代!」

驚く少女たち

「いいえ、私はこういうものです。」

そう言いながらその少女は名刺を差し出してきた。

「ココロとカラダの悩み、お受け致します。             真城 華代 」

「華代ちゃんか……きみはここにはいるための能力というものが何か知ってるかい?」

うしろで少女たちが「やめろ〜」とか「逃げろ〜」とかいっている中俺はたずねる。

「はい。その能力をお望みですか?」

「いや、能力があっても俺は大きすぎるらしいからね。」

その言葉をきいてしばらく「う〜ん」とうなっていた少女はいきなり

「そうだ! これで解決です!」

といって俺の体に触れた。

すると、体が熱くなってとけていく感じがした。

「なっ!? なんだ?」

「やっちゃったよ!どうする一号?」

「大丈夫だ。あいつには能力がないはずから、すぐに戻せる。」

縮んでいく体、細くなっていく手足、低くなっていく目線の中そんな声を聞いた。

「なんだ? 俺はどうなったんだ?」

俺の口から出た言葉は妙に甲高い

「大丈夫だすぐに戻してやる。」

そういうと今度は女子高校生くらいの少女が俺に触れた。しかし……

「なっ! はじかれた!?」

「華代!もしかして……」

「はい。彼は能力をお望みでしたので私と同等ぐらいの力を付与させていただきました。」

「……華代と同等って……」

「むちゃくちゃ強いじゃないか!」

「なんだ? 俺はどうなったんだ!」

「おい一号お前かがみ持ってるだろ見せてやれよ。」

「はぁ〜「女の子はいつも鏡を持ってるものよ〜」とかいって水野さんに渡された鏡がこんなとこで役立つとは……」

俺に鏡を渡す少女

「はぁ!? これが俺!?」

そこにはどう見ても小学生くらいの少女がうつっていた。

「お兄ちゃんは小さくなることをお望みでしたのでそのような格好にしてみました。ちなみに腕力、各技術はそのままですのでおきになさらずに。」

「そうか、これでおれはこの組織に入れるんだな。」

「又のご利用お待ちしています。りくちゃんいきましょう。」

「あっ……あぁ……」

うさ耳と一緒に去っていく華代という子

「いいのか? お前元に戻れないぞ。」

「この力で世界を守れるならそれでいいさ。」

そして再びおれは組織のボスのところへ行った。

「これなら文句無いでしょう?」

「能力は申し分ないのだが……やはり大きすぎる。」

「はぁ? この体のなにが大きいというんだ?」

「いや、体じゃなくて、君の名前が……」

「はぁ……名前?新野 十乗が何か? 確かにあまり無い名前ですが……」

「君の名前は二の十乗……つまり1024になるんだ。」

「はぁ……」

「ところがこの組織は常時100号までしかいられない。つまりきみの名前の1024号はないんだ。」

「そんな理由かよ!!!!!! だったら今すぐこの体を元に戻せ!」

「それが……君の体をそのようにした真城 華代の力は我々の能力より上で……」

「俺一生このまま!? 組織にも入れずに!?」

「すまんが、そういうことだ。お詫びに戸籍は用意してあげよう。半田ケイ 10歳で」

「K=1024ですか。ボスにしてはなかなかセンスがいい。」

「いたのか部下A」

「はい。はじめから。」

「結局俺はこのままかよ!」

こうして俺はただ少女にされただけでこの組織をあとにした。

はぁ……明日からどうやってめし食おう。小学生じゃ労働基準法に引っかかる………………

 

「今日のお客様はなかなかすてきなかたでした。

世界を守りたいための力がほしかったということで大サービスをしてしまいました。

私と同じように世界中の人たちを幸せにしてくれるといいなと思います。ではまた……」