「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠


ハンターシリーズ77
『やりすぎケイちゃんの
就職活動』

作・yuk


 俺の名前は新野……いや、いまは半田ケイだ。

俺は確かに半田だがハンターではない。

名前のせいで組織に入るのを断られてしまった。

しかし俺にはさまざまな技術と比類のない能力がある。

今日も一日就職活動がんばろう。

 

さて、今日の仕事は……

「集団性転換事件が発生した。なずなを呼べ!」

柄にもなく緊迫した声でボスがさけんだ。

「なずなはサハラ砂漠で行方不明です。」

部下Aがさらっと衝撃の事実を告げる。

「またか……」

「はい。今週三回目です。」

衝撃でもなかったらしい。

「仕方ない。人海戦術だ。いちごはどうした?」

「街中でファンだという人物からサインをせがまれ、仕方なくしたところ人気アイドルと間違われてたことがわかり恥ずかしさのあまり自室に引きこもってます。
そしてこれがその人気アイドルの写真です。」

「そうか……狩生いち子か……確かにそっくりだな。なら珊瑚は?」

「いったんいなくなったストーカー軍団がまた最近増え始めて……」

「そして実家に帰ったか……」

「はい。」

「ならりくは?」

「六号はいま華代の相手をしていますが呼び出しますか?」

「……いや、やめておく。ななちゃんは?」

「今日は二人が初めてけんかして仲直りした日だから奥さんとすごすといって有給をとってます。」

「あのバカップルが……五号は?」

「一号の部屋に張り付いてます。男が五人がかりでも動かせません。」

「あの馬鹿は……双葉は?」

「テストで赤点だったらしく一人でウエディングケーキ丸々一個食ってます。」

「どこまで甘党なんだ!? 30号は?」

「美玲が誘拐されたらしくて機能しません。」

「そっちのほうが事件じゃないか!!」

「まあそっちは自分たちで解決してもらいましょう。」

「そうかじゃあ17号!」

「小さすぎます」

「なら20号!」

「もっと小さいじゃないですか。」

「じゃあ31号」

「修理中です」

「38号!」

「余計ひどくしてどうするんですか?」

「15号!40号!90号!98号!」

「すべてお手つきなので勝手に出せません。」

「ならば11号!16号!67号!93号!」

「未登録です。キャラから作るのぶっちゃけめんどい。」

「じゃあどうすればいいんだ?」

「ふふふ。ここは俺の出番ですね。」

「おまえは……だれ?」

「このまえ! ハンターになるのを! 断られた! 半田ケイだ!」

「ああ。ケイちゃんか。何でここにいる?」

「こんな姿になってからどこへ行っても仕事をさせてもらえなくてここに住み着いてたんだ。」

「ここはいつから下宿になったんでしょう?」

「うるさいぞ部下A! で、どうしたんだい?」

「ふふふ。この俺がその事件解決してきてやろうと思ったんだ。」

「あ! そうか。君ならなずなに負けないくらい力が強いのか。」

「そのとうり! ただひとつ条件がある。」

「なんだ?」

「この仕事を成功したらハンターにしてくれ。」

「……やむを得まい。ただししっかり働いてくれよ。」

「ああ。了解だボス。」

 

ケイは集団性転換事件があったという場所へ向かった。

「ここが集団性転換事件があった学校だな。」

そのとき学校からひとりの女子生徒が顔を出した。

「どうしたの? お嬢ちゃん? こんなところで」

「君はここの学校の生徒か?」

「え? あ……うんそうだけど、それがどうしたのかしら?」

「ならば話は早い。今すぐ元に戻してあげよう。」

「は? 元に戻す?」

ケイが念じると目の前にいた女子生徒があっという間に男子生徒に変わっていった。

「え? これ何? 私、男?」

同時に学校の中からもさまざまな声が響いてきた。

「やった! もとにもどった!」

「ちぇ! せっかくかわいくなれたのに。」

「きゃ〜またの間から何かが〜!!」

ケイの目の前にいる女子生徒……いや、男子生徒は茫然自失状態だった。

ついでとばかりにセーラー服を学生服に変える。

「気にするな。これもしごとのうちだ。」

ケイは優しい言葉をかけ、ハンター組織へ戻っていった。

 

「ボス! やってきたぞ! これで俺もハンターだな!」

「……確かに女子に変えられた男子は元に戻ったようだな。」

「ああ。あの学校は元どうりの男子校だ。」

「そうだな。ただひとつ、間違いがあるとすれば……あの学校が共学だったってことだな。」

「はい?」

「あの学校は共学だ!! つまりお前は変える必要のない女子生徒までも男にしてしまったんだ。」

「え!……えと……じゃあ……ハンターには」

「できるはずないだろう。いまなずながリカバリーに向かってる。なずなにフォローされるやつなんてはじめてみたわい。」

「い〜〜〜〜〜や〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

 

「で、ケイは今何してる?」

「組織の一室に自分の部屋を作って引きこもってます。」

「ホントにいつからここは下宿になったんだろうな……」

「ボスが千景を連れてきたときからじゃないですか?」

「そうかもしれんな。」

「開き直らないでくださいよ。」

「まあとりあえずいちごを部屋から出して、珊瑚とななちゃんをを呼び戻して

りくと、仕方ないから華代もつれて来い。五号もいちごについてくるだろう。」

「何するんですか?」

「ケイのハンター組織居候歓迎会。」

「集団性転換事件よりそっちのが大事なんですか!?」