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ハンターシリーズ27

『ハンターガイスト』

作・城弾(じょう だん)

 どこにでもある住宅地。その夕方。帰途に着く小学生や中学生。高校生。
 「じゃあね。双葉」
 「うん。バイバーイ」
 双葉と呼ばれた少女は甲高いいわゆるアニメ声でクラスメートに言う。
 背中までの黒くツヤのあるロングヘア。下手すると腰まで届きそうだ。
 反対にプリーツスカートは短くその脚線美を惜しげもなくさらしていた。
 小作りな顔は美人というより可愛い感じを与える。
 150センチあるのか怪しい小柄さと相俟って年齢よりも低く見られそうだが「女」を強調した二つのふくらみがそれなりの年齢を思わせる。
 「ああ。今日も面白かったなぁ」
 それこそ毎日が楽しくてたまらないとばかしに彼女は一人つぶやく。だがその終焉を告げるものがいた。
 男だ。異様な雰囲気をかもし出している。白いスリーピース。ネクタイまで白だ。
 やや面長でワイルドな風貌。その長いもみ上げが昭和50年代を印象させる。
 背はかなり高い。足も長い細身の男がオフロードタイプのバイクにまたがっていた。
 双葉は目を合わせないようにして通り過ぎようとする。
 見るからに怪しい男なので「普通の女子高生」のとる態度としてはもっともに思えた。すれ違い3メートルも離れたころだ。
 「女子高生生活は楽しいか? 半田双葉」
 渋い声で問いかける。言われた双葉は瞬間、体を震わせる。だがそれがもっともなのは次の言葉でわかる。
 「あ…あなたは誰? どうして私の名前を知っているの?」
 不審者におびえる女子高生。そう見える。
 「あんまりとぼけているな」
 白いスーツの男はジャケットから身分証明書のようなものを出した。
 「ハンター秘密警察署長。ハンターガイスト。半田双葉。いや。ハンター28号。お前を迎えに来た」
 「い…今更いったい何の用? 私が真城華代にこんな体にされたときはこなかったくせに」
 観念したのかとぼけるのをやめた双葉。
 「ふっ」
 予測した反応とでも言わんばかりに鼻で笑う。
 「あの時、私は別任務についていたのでな。お前さんの間が悪かった…いや。狙っていたんだろう。俺がお前を男に戻せないタイミングを
 ハンターガイストはバイクから降りて芝居がかってしゃべりだす。
 「華代の無害化に志願したお前。28号は新宿二丁目で華代との接触に成功。ニューハーフといわれる連中を憂いていると告げた。
 華代は『男が女の格好しているのが良くないなら体が女になってしまえばいい』と独特の理論展開でニューハーフたちを片っ端から女に変えた。
 だがその際にお前も巻き込まれ女子高生に。以後消息を絶つ…と言うことだった」
 「そ…そうよ。私は無様に任務に失敗したのよ。しかも巻き込まれたので元にも戻れないわ。あきらめて女として暮らしていかなきゃいけないのよ。せっかく覚悟も決めてやっていたのにいまさら男時代を思い出させるなんて残酷なことをするのね」
 「そうかな? 変だと思わないか」
 まるで芝居そのもので間を空けるガイスト。
 「お前の依頼でいけば女装している人間のみ対称になるはずだ。だが制服である黒いスーツ姿のお前まで巻き込まれた。なぜだ?」
 「し…知らないわよ」
 じりじりと後ずさる双葉。隙あらば逃げ出そうとしている。
 「華代が『女になりたい男を女にする』と解釈したとしたらどうだ。街中をスカートで歩くような奴らだ。それなりに女になりたいと思っていても不思議はない。
 なにしろその気はまったくなかったハンター一号まで美少女にしちまったくらいだ。多少でもそのつもりがあればなるだろうな。
 そして28号。お前もその気があった!

イラスト 神木亨太さん

 「な…何を根拠に」
 その声はもう震えていた。図星といっているようなものであった。
 「これがなんだかわかるか?」
 ガイストは懐から取り出した一枚の書類を見せた。
 「そ…それは…」
 「これは定期的に行っている「心理テスト」の結果をプリントアウトしたものだ。
 自衛隊員や警察官がテロリスト的思想を持っていたらどうなる。いうまでもないがな。
 そして俺たちハンターも華代の無害化が目的。それを妨げる思想はあってはならない。それを調べるものだ。
 だが28号。この心理テストを見るとお前は確実に女になりたがっていた。生まれたときから男なのにもかかわらずな。
 つまり華代を利用して女になったと考えるのが自然だ…いや。むしろ華代に接触するためにハンターになったとすら言っていい」
 そこまでいわれて愕然となる双葉は脱力して膝をつく。追い討ちをかけるうにガイストが続ける。
 「俺はそんな『裏切り者』を始末する。ハンター秘密警察の所長だ」
 言うと右腕から銃口を向ける。
 「わ…私を殺す気?」
 「ある意味じゃそうなる」
 いうなり銃口から怪しい光線が照射される。
 「きゃあっ」
 プリーツスカートはぐんぐんと丈を長くして途中から二つに分かれる。ブラウスがワイシャツに。ジャケットも少女の愛らしい体躯を包むものから大きく変化してプロレスラーが着るほどの大きさに。
 自慢のロングヘアはどんどんと短くなりとうとう角刈りに。
 愛らしいふっくらとした顔は大きく。ごつごつとした顔に。可愛い低めの鼻は威圧的に高く。白い肌は浅黒く精悍に。身長も2メートルを超えた。
 「そら。ちゃんと戻ったはずだ。今回は巻き込まれたというより『女性化願望』を持つおまえ自身もターゲットだったから戻せる」
 手鏡をガイストは渡す。恐る恐る覗き込む双葉。否。28号。そこにはどこのプロレス団体に上がってもトップを取れそうなごつい男がいた。
 ちなみに通称が「鉄人」。鼻も高すぎるくらいの鷲鼻だった。
 「いやあああああ。こんなのかわいくないぃぃぃ」
 叫ぶ声も渋くて男性的な声に。それだけに裏声で女言葉は奇異だった。
 「女言葉だけは直らんか。ま…もともと女性化願望があっただけにそれが元来か」
 「殺して。こんな体で生きるくらいなら死んだ方がましよ」
 28号はガイストに哀願する。だがそれを冷たく跳ね除けるガイスト。
 「ただでさえ華代にやられて人員不足だ。そんなことできるか。まぁ女の『半田双葉』は死んだが。使えるやつはとにかく元に戻さないとな。じゃ明日から復帰してこいよ。うまく行けば今度こそ俺でも戻せないように華代に女にしてもらえるかも知れんぞ。さて。次は」
 ガイストは新たな任務へと就いた。そして
 「華代さまぁぁぁぁぁぁぁ。あたしをもう一度女の子にしてくださぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ」
 女言葉で泣き喚く大男がいた。

 後日談。
 結局ハンター本部へと復帰した28号。なんといってもここが一番華代との遭遇率が高い。
 (今度は巻き込まれ型のパターンで華代様に女の子にしていただくわ。そのためには現場に早く出向かないと)
 彼はいそいそと(内股で)事務所へと向かう。その廊下でだ。
 臙脂色で大きく膨らんだスカートと肩の膨らんだジャケット。スクールブラウスもフリルがふんだんに使われた女子高生服に身を包んだいちごが歩いていた。
 (これも任務だ。これも…女にされた職員はいるが女子高生になっての潜入が出来るのは俺だけだ。しかし…このひらひらは何とかならんか…)
 彼女は必死で自分自身をなだめていた。
 (あれが…いちご)
 この二人がすれ違う。いちごのほうも大男に気がつく。28号の男の匂い。いちごの女の香りが交錯する。
 (あいつが28号か…あんなにいい体をしていてどうしてわざわざ女になりたがるんだ? できることなら変わってやりたいよ)
 (悔しいけど可愛いわ。何であんなに可愛いのにこんな可愛くなくて臭い男に戻りたがるのかしら? できることなら変わってあげたいわ) 
何事もなかったかのように。しかし互いに羨望のまなざしを向けつつすれ違う。

 この二人。後に頭をぶつけて人格が入れ替わるがそれはまた別の機会に。

ハンター・シリーズ28 後日談「小さな女神」に続く)



あとがき



 はじめましての方もいらっしゃいますか。城弾(じょう だん)と申します。どうぞよろしく。

 発想としてはいちごちゃんと正反対のキャラということでした。
 男に戻りたくて仕方ないいちごちゃんに対して女に戻りたくて仕方ない女性キャラ。
 それをもうちょっと捻ってオカマのハンターとなりました。
 もちろん徹底的にギャップを与えレスラーばりの巨躯に。そうすればいちごちゃん的にはうらやましいので多少は意識するかも。
 28号なのは「鉄人」というより双葉と言う名前から。

 ハンターガイストの元ネタは三十歳を超えている方なら(笑)ぴんとくるかも。
 「仮面ライダーX」のアポロガイストです。人間体のほうね。
 元々はよく言われるハンターを追いかけるハンターを出すつもりでしたが追われる対象とした
双葉…28号が面白いキャラになっちゃったのでこっちが主役みたいな形になっちゃいました。
 当初は元ネタ同様に一度は華代ちゃんによって女性化させられるが再生に成功。
 再生ハンターガイストとなるが(ちなみに衣装は黒尽くめに)それは一ヶ月しか持たない。
 それを恒久的にするためには華代ちゃんのポシェットが必要で戦いを挑むが結局敗れて女として生涯をという後日談を加えるつもりでしたが一人くらい残しておいてもいいかなと別任務につかせました。
 最後のせりふでは最初は八号を探索に行くはずでしたがどういう扱いかわからないのでやめました。

 ちなみに最後の一文は単なる締めくくりで本気で書くつもりはないです(笑)
 いくら『GA』ファンでも投げっぱなしはなんだけど…

 宣伝OKというので失礼して。
 僕の『城弾シアター』でも『らんま1/2』のリスペクト作品。『PanicPanic』をやってます。よろしかったら一度遊びに来てください。

 今回はお読みいただきありがとうございました。