「華代ちゃんシリーズ」



「華代ちゃんシリーズ・番外編」
「ハンターシリーズ」
「いちごちゃんシリーズ」

作・真城 悠

ハンター・シリーズ82
『はりきるケイちゃんの
就職活動』
作・yuk

俺の名前は新野……いや、いまは半田ケイだ。

俺は確かに半田だがハンターではない。

ただいま仕事捜索中だ。

しかし俺にはさまざまな技術と比類のない能力がある。

今日も一日就職活動がんばろう。

 

 

さて、今日の仕事は……

 

「おら! 100号! 急患だ!」

「ちょっと! 先輩! もう少し丁寧に扱ってくださいよ! 瀕死の重傷なんですから!」

「五号! すまん! もう少しの辛抱だ!」

医療室にあわただしく患者が運び込まれた。

「何だと? みせてみろ! こ……これは……全身複雑骨折内臓破裂口内炎までできてるじゃないか!」

「あの……百目鬼くん……僕もいま瀕死なんだけど……」

医療室には100号と全身血だらけの96号がいた。

「すぐに集中治療室にはこべ! 緊急手術をする!」

「あの……僕のほうはどうなるの?」

「解ったよ。おら! いくぞ57号!」

「わかりました。先輩!」

「いや、だからあのね……」

「患者は?」

「57号、説明してやれ!」

「ハンター五号 五代 秀作さんです。本日未明ハンター組織のある一室で怪我をおったそうです。」

「いや、だから僕の話を……」

「どうしてそんな重症を?」

「その点は俺から話そう。」

「きみは……いちご君だね。」

「ああ。実は……」

「僕を無視したまま回想とか行かないで! たのむから! もうすぐ死にそうだから!」

「その辺のもの勝手に使っていいから自分でどうにかしろ。金は使った分の医療器具代だけで良いから。」

「いや、自分でって……しかも金取るの!?」

「で、どうして五代君はこんなになってるんだい?」

「それは……」

「ああ! もう解ったよ! やればいいんだろ! やれば!」

本当に自分で縫合を始める96号であった。

 

「俺はある事件がきっかけでしばらく部屋に引きこもってたんだ。」

 

引きこもり初日

 

ったくあの馬鹿どこ行きやがったんだ? 人の名を騙ってラジオ番組になど投稿しやがって……

そのうえ今日探してみたらいないときてる……見つけたらただじゃおかねぇ……

 

「それでこの傷はやりすぎじゃないのか?」

「いや、原因はそこじゃないんだ。」

 

引きこもり三日目

 

マジであの馬鹿どこ行きやがったんだ? 見つけたら教えろって引きこもる前に六号に頼んどいたのに……

大体なんでこんなときに限って誰も様子を見に来ないんだ?

 

引きこもり一週間目

 

倉庫整理大丈夫だろうか? そろそろやらないと大事なものの場所わからなくなるぞ……

領収書の整理も今週当番俺だったような気がしたけど、呼ばれないってことは違うのかな……

六号からの連絡も来ないし……

 

引きこもり一ヶ月目

 

どうしたんだろう……どうして誰も俺を呼びに来てくれないのだろう?

もしかして忘れられてる? どうして? 今回は女子高にいるわけでもないのに……

 

引きこもり三ヶ月目

 

なんで? どうしてだれも来ないの? 六号! 七号! 水野さん! 沢田さん!

 ボス! 部下A! もう誰でも良いから呼びに来いよ! 五号!!!!!!

「いちごちゃん! 呼んだ?」

 

「で、何でそれでこんな怪我になるわけ?」

「いや、そのあとがあってな……」

 

「五号!!!」

「なんだい? いちごちゃん。悩みがあるなら僕の胸に飛び込んでおいで。」

やさしい言葉に感極まり思い切り抱きつくいちご

「いちごちゃん! ついに僕に……」

しかし……

全力で抱きついた戦闘力抜群のいちご。見事に極まってしまった。

「五号!!!!」

さらにきつく抱きつくいちご。五号の全身の骨が音を立てて折れていった。

「ぐぎゃ〜〜〜〜〜!」

………………………………

 

「というわけなんだ。」

「なるほど。どうりでこんなにっても幸せそうな顔なのか。」

五号はかなり幸福の絶頂っぽい顔で瀕死になっている。

「あ〜。思い出したら腹立ってきた。もともとこいつが原因なのに。」

「きもちは解らんでもないが、それをやるなら一旦直ってからにしたほうがいいよ。」

「それもそうだな。」

「あの〜100号君?」

声をかけたのは96号。ホントに自分で治療したらしい。

「なんだ? 使ったものはきちんと元の場所に戻しとけよ。あとで請求書渡すから。」

「うん……じゃあ、僕帰るね。」

「ああ。お大事にな。では急いで手術をする。」

さっさと行ってしまう4人組

「何で誰も相手にしてくれないんだろう……。」

やっぱり一人たそがれる96号であった。

 

集中治療室であわただしく治療が始まった。

「メス!」

「んなモン知るか!」

「すいません。僕もわかりません。」

「そんなんでよく看護婦なんかやってるな……」

「うるせえよ。もともとやりたくてやってるわけじゃねぇ! ていうか1号、どうしてここにいる?」

「いや、なんとなくついてきただけ。」

「しかし華代も魅夜子も何でこんな中途半端にかえたんだ?」

そのときどこかから名刺がシュタッと飛んできて五号に突き刺さった。

「「わ〜〜〜〜〜!」」

あわてる32号と57号

「ふむ。華代の名刺だな。」

「裏に何か書いてあるぞ。」

「何であんたらそんなに冷静なんだよ!」

「まあ、この程度でびびってたらこの先ハンターなどやってられんぞ。」

「そういうことだ。え〜と『中途半端じゃありません。 真城 華代』

『医療ミスが多発するこの世の中であえて失敗の多いナースというものを目指した結果です。 空 魅夜子』

んな、迷惑な! 大体これどこから飛んできた? ここ集中治療室で窓すらないぞ!」

「しかし困ったな。さすがにわたし一人では手術はさばききれないぞ。」

「俺は無理だぞ。簡単なことしかできないし。」

「ふふふふふ。ここは俺の力の見せ所かな?」

「だれだてめぇ?」

「どちらさまですか?」

「部外者は出て行ってもらおう。」

バタン

いきなり締め出しをくらったケイちゃんです。

「おい! こら! この話一応俺が主役! タイトルに名前でてる! 登場一番遅かったけど!」

 

なんとか中に入れてもらったケイ

「で、きみは誰なんだい?」

「俺は……」

いちごが横から口を挟む

「あぁ! このまえ歓迎会であった……」

「そうそう。その……」

「アイだったか?」

「いや、違うって。」

「じゃあジェイ?」

「ちがうって! なんだよジェイって! その次だよ!」

「ああ! エルか!」

「飛ばすなよ! わかってやってるだろ!」

「じゃあキラ?」

「何でそっちに飛ぶんだよ! デス○から離れろよ!」

「ヤマト?」

「キラってそっちかよ! 話飛びすぎだよ!」

「で、ケイは何しにきたんだ?」

「ほらやっぱりわかってやってたし! 人手が足りないならこの俺が手伝ってやろうと思ったんだ。」

「ほう。君は免許を持っているのかね?」

「ああ。もちろんだ。かの有名なブラック・シャドウにもあったことあるぞ。」

「なに!? あのブラック・シャドウにか?」

「おい。100号。ブラック・シャドウって誰だ?」

「無免許だが腕は確かな闇医者だ。ただし対価がものすごいけどな。」

「100にすごいとか言わせる医者って一体どんなのだ?」

「さぁ、僕にはわかりません。100号さんその対価ってどんなのですか?」

「ああ、この世にそれ以上無いと言われているほど高価な……」

「高価な?」

「タダというものだ」

「「「めっちゃ良心的じゃん!!!!」」」

「ああ。まったく恐ろしい。何を考えて生きているのか……」

「いや、それお前がただ金にこだわってるだけ……」

「何か言ったか?」

「いえ、なにも」

「うぅぅ……」

「五号!」

「何でもいいから早く助けて……」

「私の力をフルに使わねばならないから相当な額を覚悟してもらうぞ。」

「14号にいちごちゃん型アンドロイド作ってもらうためにためた貯金があるから大丈夫……」

「お前何変なもん作ろうとしてるんだよ!」

「あ……でもやっぱりもったいないかな……」

「そして何自分の命よりそっち優先しようとしてるんだよ! 大体死んだら元も子もないじゃないか!」

「あ、そうだね。いちごちゃん頭いい……ガクっ」

「「「「五号!!!!」」」」

「五号……お前のことは忘れない……」

「いや、まだ死んでないから。それじゃ俺が出てきた意味ないから。」

つっこむケイ

「いや、ちょっとノリで……」

「じゃ、そろそろ始めようか。これ以上コントをしてては本当に死んでしまう。」

「誰のせいだよ!」

「俺達は関係ないぞ!」

「そうですよ。先輩も僕もただ見てただけですし。」

「お前らは看護婦の仕事をしろ!」

「あの、そろそろホントに死にそうなんだけど……」

 

五時間後、必死の手術のおかげでどうにか(?)五号は命を取り留めた。

「ふむ。君はなかなかの腕を持っているようだね。」

「当たり前だ。この俺に不可能はない。最近伊奈に何度も殺されかけて血には慣れてるし……」

「どうだい? 君さえよければここで働かないか? 月35万だ。」

「おう! 俺でよければつかってくれ!」

 

「で、なんでまだケイは仕事を探してるんだ?」

「何でも月35万というのが給料じゃなくて働きたければ払えという額だったらしく……」

「ケイも止めればいいものを……で、5号は?」

「いったん全快したのですが、そのあとすぐまた1号に……」

「なるほど……で、その1号は?」

「観察対象にされていたことを知ってまた引きこもってます。」

「三ヶ月分の倉庫と領収書の整理がたまってる。よびだせ。」

「領収書の整理って事務の仕事なんじゃないんですか?」

 

おまけ

 

「なぁケイ。おまえ華代並みのちからあるんだろ?」

「そうだけど……いちご、どうした?」

「じゃあ俺を元に戻せないか?」

「無理だな。」

「何でだよ!」

「技術的には問題ないはずだが……」

「じゃあなんで……」

「ハンターシリーズ規定で許されてない。」

「そんな理由かよ!!!」