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ハンターシリーズ130『空奈ちゃんの小ネタ集』 作・ELIZA

ハンターシリーズ130
『空奈ちゃんの小ネタ集』

作・タイトル画 ELIZA
 (ホームページ“ELIZA'S GRIMOIRE”はこちらから

 

【始まりは突然に】

 23号「あれ、これは…身分証?
     写真は空奈ちゃんのだけど…名前が全く違う。」
 97号「…あ!
     それ私の。返して。」
 23号「え、と言う事は空奈ちゃんは…」
 97号「…絶対に、言わないでね。」

【念のため】

1時間後、ロビーで1人でくつろいでいる23号。
そこにゆっくりと近づいていく97号。
その手にはなぜかスタンガンが。

 97号(そ〜っと、そ〜っと。)
 23号(全く気付いていない。)

バチッ!

 23号(気絶する。)
 97号「…ごめんなさい。
     でも、こうするしかなかったから…」

【言葉遣いに注意】

 49号「はい、次の人、どうぞ。
     …どうしたのですか、二岡さん!?」
 97号「起こさないでください。」
 49号「なぜですか?」
 97号「その…
     本人に悪気はなかったのでしょうが…
     「見られてしまった」ので…」
 49号「『本当?』
     …嘘ではないようですね。
     解りました、その記憶を完全に抹消しましょう。
     そのような事態でしたら、お金は要りません。」
 97号「…ありがとうございます。」

『本当?』:ある時間範囲で対象が言った言葉に虚偽の内容が含まれているかを知る魔法。誤解が生じている場合、その誤解を見抜くことはできないので注意が必要。

【証拠隠滅】

 97号「その…イルダさんは「記憶」を消す過程でその内容を知ることはないですよね?」
 49号「時間さえ分かれば、記憶の内容が解らなくてもその時間の記憶全てを消すことができますよ。」
 97号「そうですか。では、今日の**時**分から**時**分までの「記憶」を消してください。」
 49号「はい、解りました。」
 97号(これで私の秘密は完全に守られたわ…)

【意外に速い】

柚木陽介「次、97号。
     位置について、用意。」

ピストルの音と共に50mのコースを走り始める97号。

 10号「よし! 8秒50!
     …49号と全く同じタイムだな。」

【意外に速い その2】

 97号「はぁ、はぁ…
     私の、記録は、どれくらいの、レベルですか?」
 10号「ハンターの中では遅い方だ。
     しかし、その体格、というか中学女子の平均を考えると決して遅くはない。
     …むしろどちらかと言うと速い方だな。」

【筋力不足】

 97号「ぐぐぐ…」
 10号「…握力はこの程度か。鍛え直さないとな。」

【バテる】

 97号「もう…ダメ。」
 10号「こら! たかが1000mだろ! 歩くな! 走れ!」

【知能指数】

柚木陽介「…これがこの前の知能テストの結果だ。」
 97号「この結果は、どれくらいの物なのですか?」
柚木陽介「86号などの「別格」の人々を除けば、全ハンターの中でもトップクラスの知能だ。
     49号とほぼ同列、といえば解り易いかな?」

【思わぬ特技】

 23号「あ〜! これどうやって設定するんだ!」
 97号「ちょっと貸して。
     …多分これでいいと思う。」
 23号(…空奈ちゃん、実はコンピュータが得意!?)

【思わぬ特技 その2】

 23号「それにしても、空奈ちゃんって、ブラインドタイプができたんだ?
     それもかなり速い。」
 97号「ええ。パソコンをいじっているうちに自然に覚えたの。」

【思わぬ特技 その3】

 23号「あれ? 空奈ちゃん、テレビの音が消えてるよ。」
 97号「あ、さっき電話に出たときに消したんだったわ。
     この番組、口元が見えれば音がなくても困らないからそのままにしちゃった。」

【思わぬ欠点】

 97号(悪戦苦闘中)
 23号「…あれ? 空奈ちゃん、華代探知機を使えないの?」

【思わぬ欠点 その2】

 96号「今回のミッション先は、あの山の上だって。」
 23号「よし! ハンターの備品に自転車があるから、皆でサイクリングだ!」
 97号「…ダメ。私は自転車に乗れないから。」

【なぜ乗れないのか】

 23号「…でも、あそこは車で行けるような広い道もないし、公共交通もないよ。
     かといって歩いて行くには遠すぎるし。」
 97号「じゃあ、イルダさんにお願いしましょう。」
 23号「何? 魔法の絨毯でも用意してもらうの?」
 97号「ううん、『扱がなくても自転車が進む魔法』をかけてもらうの。
     私、扱がなければ二輪は普通に乗れるから。」
 23号「そのスカートをやめればいいんじゃない?」
 97号「…そういう問題じゃないの。」

【常勤】

結局、自転車で目的地に向かう二岡組。
97号の自転車には『扱がなくても自転車が進む魔法』がかかっている。

 23号「それにしても、最近ミッションの頻度が高いよな…」
 96号「危険なミッションはないからいいじゃない。」
 97号「それだけ組織から頼りにされてる、ってことね。
     …本を読んだり勉強したりする時間が取れないのは嫌だけど。」

【どこで身につけたのやら】

 97号「…ちょっと待って。ここは回り道しましょう。」
 23号「どうしたの?」
 97号「多分、この先の交差点にはお巡りさんがいるわ。
     今の時間に中学生がこんな所にいたら、捕まってしまうわ。」
 23号「占いとかで引っかかったの?」
 97号「ううん、ただの経験則。」

【思わぬ特技 その4】

湖のほとりにやって来た二岡組。
湖の向こうに向かうため、96号は持ってきたゴムボートを膨らませている。

 96号「何でこんなことやらなきゃいけないんだろうね…」
 23号「高い山にきれいな空気。うーん、いい所だ。
     よし、あのゴムボートで向こう岸に渡るぞ!」
 96号「完全に無視された…」

23号は勇んでゴムボートに乗り込もうとするが…失敗。
もしライフジャケットがなかったら、溺れてしまっただろう。

 97号「…へたくそ。」
 23号「空奈ちゃん、気をつけて、乗るのも結構難しいよ!」
 97号「そうかしら。」

97号は楽々とゴムボートに乗り込むと、他の2人を助けて乗り込ませた。

 23号「空奈ちゃん、そこのオールをこっちに渡して。
     俺が漕ぐから。」
 97号「…ダメ。貴方が漕ぐとボートが転覆してしまうから。
     遅くなるけど、この中で漕いで行けるのは私しかいない。」
 23号「…」

【思わぬ特技 その5】

 97号(歌っている)
 23号「…凄く上手だね。
     でもなんて歌なの? 聞いたことがないんだけど。」
 97号「これは自分で作詞作曲した歌。
     だから聞いたことがないのも当然。」

【人見知り】

 97号(歌っている)
池面正之「ねえ君!」
 97号「…何ですか? (怯)」

【思わぬ逸材】

池面正之「御免御免! 変な誤解をされたみたいだね。
     僕はマダムの友社の池面正之。
     君の歌を聴いた途端、ズキーン! と来てね。」
 97号「…スカウトですか? お断りします。」
池面正之「そんなこと言わないで、君の歌唱力なら絶対に成功するから!」

【思わぬ逸材 その2】

何だかんだあって結局スタジオへ連れてこられた97号。

  松嶋「池面君、その娘は?」
池面正之「紹介します。空奈ちゃんです!
     あっ、空奈ちゃん、この人達がスタイリストの松嶋さんとカメラマンの山崎さん。」
 97号「(小声で)…は、はじめまして。」
  松嶋「よろしくね。」
  山崎「どうぞよろしく。」

  松嶋(ちょ、ちょっと池面君! この娘何処で見つけて来たの?)
池面正之(いや、そこの公園で歌ってた所に声を掛けたんですけど? 駄目ですか?)
  山崎(駄目どころか! この娘絶品よ!
     プロのモデルの子でもこれだけの逸材はそういないわ!
     これなら歌でダメでもアイドルとして十分やっていけるわ!)

【なぜ付いて行ったのか】

 97号「す、すみません。お手洗いは…」
  山崎「あぁ、廊下に出て左へまっすぐ行った突き当たりにあるから。」
 97号「…失礼します。」

 97号(そろそろ来るわ。5、4、3、2、1…)

その時、スタジオの方から響く男女の悲鳴。
ハンターならば集団性転換だということがすぐに解るだろう。

 97号(…やっぱり来たわ。
     でも、どうやって気付かれないように相手に触るかが問題よね…)


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