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ハンターシリーズ109『イルダさんの小ネタ集 3巻目 〜イルダさんの陰謀〜』 タイトル画制作:ELIZA    

ハンターシリーズ109
『イルダさんの小ネタ集 3巻目
 〜イルダさんの陰謀〜』

作・タイトル画  ELIZA
ホームページ“ELIZA'S GRIMOIRE”はこちらから

 

注:この作品には、登場人物のイルダ・リンカーンが一神教に狭量であるという設定上宗教的な話題が登場します。
(米国の基準では年齢制限がかかる可能性もあります。)
そのため、宗教的な話題に対して不快感を感じる可能性のある人は、以下の文章を読まないようにしてください。



【社交家】

今日は高校生ズとイルダさんで街に買い物に来ています。

 82号「ナオ…待ってろよ。
     すぐに買って帰るからな。」
 28号「ねぇ、イルダさん。
     紫苑さんの買い物って魔法の品だよね?
     みこさんとイルダさんが一緒に行くのはいいとして、なぜ私たちも来なきゃいけないわけ?」
 11号「退屈が紛れるからいいじゃない、双葉。」
 49号「…皆でわいわいやっていないと不安じゃないですか。」



【荷物の持ち方】

 77号「…イルダさんはハンドバッグとか持たないの?」
 49号「そのようなものを持つと手が塞がるじゃないですか。」
 15号「ハンドバッグなしだと色々と困らない?」
 49号「『隠し扉』の中に入れておけばいいのですよ。」
 11号「うわ、凄いマジック!」
 49号「『隠し扉』は難しい魔法ですが、色々な人が使ってますよ。」
  1号「誰がそんな魔法を使っているんだ…?」
 35号「あれ、『隠し扉』という名前なんだ…」



【荷物の持ち方 その2】

どうもアンティークショップに入ろうとしているようです。

 49号「では、いちごさん、なずなさんをお願いします。」
  1号「了解。
     ということでなずなにはここで待っててもらう。」
 77号「え〜!?」
 11号「…一緒に入ればいいのに。」
 28号「あの娘が入るとひどいことになるから。
     気にしない方がいいわ、あんず。」

 49号「…紫苑さんが必要としているのはあの置物ですね。」
 35号「…確かに、ただならぬ気配を感じるな。
     しかも捨て値だ。」
 82号「すいません、これください!」
  店長「まいどあり。
     …しかし、このデカブツをどうやって持ち帰るおつもりで?」
 49号「紫苑さん、風呂敷2枚は持って来ましたね。
     ではここをこうして…これでよし!」
 82号「ありがとう、イルダさん!
     …ナオ、すぐに帰るからな!」
 15号「凄い…
     風呂敷があっという間にバッグになっちゃった。」
 49号「結び方さえ間違えなければ風呂敷ほど便利なものはありません。」



【荒稼ぎ】

 49号「…このティーセットはいいですね。
     壊れていなければ数十万円は堅いです。」
 28号「壊れてるから100円なんじゃない?」
 49号「すみません、こちらを頂けますか?」
  店長「まいどあり。」

 77号「あ、帰ってきた。」
  1号「ずいぶん早かったな。」
 15号「イルダさん、こんな壊れたものを買ってどうするの?」
 49号「…『修繕』!」
 11号「わ! 直った!」
 49号「では、次の店に行きましょう。」



【荒稼ぎ その2】

 15号「イルダさんって、いつもこんなことやってるの?」
  1号「前にも付き合ったことがあるが、こんなもんじゃないぞ。」
 49号「さて、この店は…。
     なずなさん、先に行って好きなものを買ってください。
     お金なら1万円あげますから。」
 77号「え、いいの?
     じゃあ、お先に〜。」
 11号「ちょっとイルダさん、なずなちゃんを行かせていいの?」
 49号「ええ、モニカさんに貰った洗礼者名簿に、あそこの主人の名前があったので。」

 77号「ご、ごめんなさい〜!」
 49号「…では皆さん、少し待っていてください。」
 28号「…でもどうしてあの店に行くんだろう?
     イルダさんは大のクリスチャン嫌いなのに。」

 49号「皆さ〜ん、壊れ物をたくさん買いすぎてしまったので、手伝ってくださ〜い!」
 35号「まさか…」
  1号「そう、この調子でこの1か月に3軒潰した。」



【良識】

 49号「皆さん、どうもありがとうございます。
     お礼といっては何ですが、良識の範囲内で何でも好きなものを買ってあげましょう。」
 11号「いいんですかイルダさん!
     じゃあ、前からずっと欲しかったミニス…」
 28号「あんず、ダメ!
     イルダさんにとって、それは「良識」じゃないから!」



【裏工作】

 77号「少しお腹が空いたから、どこかでケーキでも食べません?」
 28号「賛成!
     …今日は思いっきり食べられるわね、うふふふ。」
 11号「じゃあ、いつものは何なの?
     双葉…壊れてるよ…」
 49号「大丈夫ですよ、今の私ならホールケーキ千個でも奢れます。
     ラ・フレーズが新作ケーキをたくさん作って売り出しましたから、そこにしましょう。」
 15号「ところで、そのケーキって?」
 49号「「巫女ケーキ」というものだそうです。
     「これは絶対に売れる」という確信があったから、他のお菓子を作らずにそればかり3664個も作ったそうですよ。」
 35号「それは非常に嫌な予感がするのだが…」
  1号「もしかして、ラ・フレーズの主人もクリスチャンなのか?」
 49号「そうみたいですね。
     まあ、私もあそこのケーキはよく売れて欲しいので、黄路疾風さんを通して『助言』したのですが。
     それと、「買いそうな」人に宣伝もしましたし。」
 77号「それって、絶対に店のことを考えての行動じゃないと思う…」

案の定、「巫女ケーキ」は36号と64号に買い占められていました。
そして、お菓子を買えなかった浅葱千景と黄路疾風、散と双葉の暴走により、ラ・フレーズは灰燼に帰したのでした。



【計算】

黄路疾風「イルダさん、ごちそうさまです。」
浅葱千景「うむ、やはり甘いものがあると落ち着くな。」
 49号「いえいえ。」
 26号「…え、もう無いのですか!?」
 28号「ちょっと! これじゃ食べ放題の意味が無いじゃない!」
  店員「も、申し訳ありません!
     料金はお返ししますから、どうかお引き取りください!」
 11号「あ、あれが…双葉…なの…?」
  1号「今日は人数が多いからな、普段はあれの倍以上を普通に食べるぞ。」
 77号「こうやって追い出される食べ放題がもう5軒目なんだけど…」
 35号「全てイルダさんの計算づくなんじゃないのか…?」



【陰謀は続く】

  店員「真に申し訳ありません。
     本日は材料が切れてしまったため、営業は終了したんですよ。」
 10号「しょうがないな…
     お、イルダさん!」
 17号「イルダさん、こんにちは。」
 49号「こんにちは、燈子さん、伊奈ちゃん。
     では、人数も増えたことですし、皆でカラオケに行きましょう。
     全員同じ部屋に入れて歌い放題、飲み放題の店を知っていますから。」
 15号「カラオケ!?(喜)」
  1号「カラオケ!?(怯)」
 11号「楽しそう!」
 28号「(ちょっとイルダさん、正気なの?)」
 49号「(『防音壁』の指輪は人数分用意してあるので大丈夫です。)」
 77号「(まさかまたクリスチャンのお店なの?)」
 49号「(いえ、ただモスクの隣にあるだけです。)」
 35号「今度はムスリムか…けどどうやってやるんだ?」



【種明かし】

 10号「…私の番はまだか!」
 77号「まあまあ、人数が多いですから気長に待ちましょう。」
浅葱千景「(これを右手の人差し指にはめて合言葉を唱えればいいんだな。)」
 28号「(うん、それをやらないと死ぬから。)」

ぱちぱちぱち

 15号「伊奈ちゃん、歌上手なのね。」
 17号「うん! …(もじもじ)」
 11号「トイレ? 出てった廊下の突き当りを右に行けばあるから。」
 17号「ありがとう。
     じゃあ、行ってくるね。」
 10号「…やっと来たか!
     では、半田燈子、歌います!」
 他全員「いよっ、待ってました!」
 26号「(本当だ、何も聞こえなくなりました。)」
 49号「聞こえにくいですか? ではボリュームを最大にした上で『拡音』!」
  店員「飲み物をお持ち…
     …ぐ、ぐふっ。」
 他全員(聞こえないので気づいていない)

ぱちぱちぱち

 10号「ああ、楽しかった。」
黄路疾風「…そういえば、何時の間にドアが開きっぱなしになってたんだ?」
浅葱千景「床に飲み物を散乱させて店員が倒れているところを見ると、歌の途中で飲み物を届けようとして気絶したのだろうな。」
  1号「ということは、すさまじい騒音公害だったんだな…」
 35号「…そういえば、伊奈は?」
 15号「伊奈ちゃんなら、さっきトイレに行ったけど。」
 28号「え!? それは大変!」
 10号「何としても探し出さないと!」
 11号「伊奈ちゃんがどうしたの?」
 26号「伊奈ちゃんは兄上と同じくらいの方向音痴なんです!」

 77号「ところで今日って…」
 49号「えぇ、金曜日、時間は夕方ですよ。」

結局、伊奈ちゃんは隣のモスクの中で保護されました。
ちなみに、翌日の朝刊には金曜礼拝に対する妨害と無差別傷害の記事が載ったそうです。


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