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ハンターシリーズ181
『ハンター組曲 0番「TGスイッチ」』

作・ELIZA

 

【いちごちゃんの主題(テーマ) 序曲 (編曲版)】

俺は「ハンター」だ。
不思議な能力で“依頼人”を性転換しまくる恐怖の存在、「真城華代」の哀れな犠牲者を元に戻す仕事をしている。
最終的な目標は、「真城華代」を無害化することにある。
とある事件――というか「華代被害」――に巻き込まれた今の俺は、18〜9歳くらいの娘になってしまっている。
華代の後始末の傍ら、何とか元に戻る手段も模索している。

さて、今回のミッションは……

【いちごちゃんの主題(テーマ) 定番 (編曲版)】

  ボス「で、何で1号は引き篭もっているんだ?」
ロッキー「俺の鼻で調べたところ、15号が壱吾の姿で来たことがそもそもの始まりで…」
  ボス「15号が壱吾の姿で来ても、1号が引き篭もるという事はないだろうに…」
ロッキー「いえ、それがそう簡単な話ではなく…」

【さりげなくShocking】

 15号「と、言う事でやってきました、いちごさんの世界♪ あたしの部屋の前ね。
     最近、彼とずっと色々……どういう事かは聞かないでね? 意味は無いから。
     ………………
     と、とにかく色々ったら色々なんですっ!!」
イセリア「いちさん! も、戻ったのね! 良かった!」
 15号「い、伊勢先輩!? …ち、違う! 放して! (部屋に逃げ込む)」
イセリア「…どうして? いちさん! 貴方に何があったの?」
 15号「…入ってこないで! (あんなこと、された…)」
イセリア「なぜ…(静かに去っていく)」

【ハクション大女優の主題(テーマ) (変ニ長調)】

 大神天音「は、は、はあぁっくしょん!」
大神あまね「しまった、性別が変わってしまった!」
 浅葱千景「側にいたのが私だけでよかったな。
      …とにかく、一刻も早く隠れて、元に戻るのをじっと待つことをお勧めする。」

  15号「…誰も入ってこないで!」
 浅葱千景「…困ったな、彼女がこうして引き篭もっているとこの部屋は当分使えないぞ。
      かといってこの部屋以外に、近くで誰も来ない部屋はないし…」
大神あまね「あの部屋は? 見慣れない部屋だが。」
 浅葱千景「確かに、見たことが無い部屋だな。…『感知』!
      …現在この部屋には人間はいない。それに、この埃の積もり方なら、滅多に人が来ることはないはずだ。」
大神あまね「では、この部屋を使いましょう。」

大神あまね「…は、は、はあぁっくしょん!」
 大神天音「やっと戻れました。では隠れるために色々と動かしたものを元に戻して…」
 浅葱千景「…誰か近づいてきましたよ、こんな場所に長居は無用です。では、行きましょう。」

  カツラ(ふっふっふ。よくぞ我が封印を解いてくれた。しかもあやつが近くに…)
月編シチリ「あ、誰かが封印を破った! 早く何とかしないと、また霧ちゃんに怒られる…」

【真剣勝負 (イ短調)】

23号「…で、あそこが、15号の部屋です。
    15号には男性の時と女性の時がありますが、どちらも1号先輩にそっくりなのだそうですよ。」
 8号「…なるほど、しばらくいない間に、色々と変わっているようだな。」
23号「…これ、何だろう? …カツラ!?」
カツラ(ふっふっふ。よくぞ来てくれた。お主の体をまた使わせてもらうぞ。)
23号(う、また体を乗っ取られた…)
 8号「…そのカツラ、女っぽくって気色悪いぞ。外したらどうだ?」
カツラ「そうは思わないけど? ほら、似合ってるだろ? (元の23号の声色を使っている。)」
 8号「そうか… (と言いながら自分の背中に手を伸ばす)」
カツラ「…わしを侮辱するとは許せん! ダイナミックチョッ…痛!」
 8号「…効かねぇな。(にやり)
    脳天は一番の急所であると同時に最も防護を固めやすい場所だからな。
    短杖程度の武器では武器のほうが壊れるくらいに固めてあるのさ。」
23号(あの革の航空帽、中に金属が仕込んであるタイプだ!
    さらにその下には衝撃吸収ゲルを仕込んだ帽子を重ねているに違いない!)
カツラ「…! なぜもう得物を抜いている? 味方だとも思っていないのか!?」
23号(あの特大バーベキュー串、実は剣だったのか!
    そしてあの構え方は…古武術だ!)
 8号「…残念ながら、こちとらそれなりに経験を積んでいるのでね。
    さっき俺が「女っぽいカツラを外したら」と質問した時の答えに全く嘘は感じられなかった。
    しかしだ、さっき少し話していて解ったんだが、23号は好き好んで女の格好をするようなタマじゃあない。むしろそういうのは何としても避けるタイプだ。
    さらに23号は大概の事に関して一般人並みだからな、この俺の前で嘘をつき通せるとは到底思えない。」
23号(タコス!)
 8号「つまり、あの質問に本心で答えたにせよ嘘をついたにせよ、今のお前が本来の23号ではないことは確実なんだ。
    …どこから入れ替わったかは知らんが、罠だか呪いのアイテムだか、そのカツラが怪しいことは間違いないがな。」

【Clairvoyant (ニ短調)】

24号「…暇だなぁ。イルダさんは双葉ちゃんのために魔法儀式を行っていて会いに行けないし。
    …あれって、千景ちゃんじゃないか? 隣にいるのは誰だろう?
    下から見上げるこの角度だと、柵が邪魔で良く判らないな。…あ、二岡が向こうから近づいてきてる。
    で、あそこの衣類管理棟の向こうには…ボスと九十九ちゃんか? シーソーに座って、何を話してるんだろう?
    …ん? あれは、あんずちゃんじゃないか? 衣類管理棟の屋上には柵も手すりもないから、危ないぞ!」

【大いなる『庇護』のもと (イ短調)】

カツラ「…しかし、この体格差、筋力差でこのわしに勝つつもりでいるのか?
    これは所詮借り物の体、使い捨てる気になればそれなりの力が出るぞ?」
23号(ちょ、ちょっと待て! 今、さりげなくとんでもない事を言った!)
 8号「…それはどうかな。(にやり)
    確かに筋力は弱いかもしれないが、隙をついて急所を刺せば判らないぞ?
    それにしても、目の前の俺ばかりに注意を向けているとは、何と隙だらけな…」

瞬間的に後ろを振り返るカツラ、その隙を突いて8号は剣を23号の心臓へ…
…刺したと思ったが、実際には剣は23号の左腕に刺さっていた。

23号(痛い! 腕が、腕がー! …腕? 助かった?)
カツラ「…き、貴様、だましたな! この嘘つき!」
 8号「…目の前の俺ばかりに注意を向けているからこそ、俺のはったりに引っかかるんだ。
    さっき言ったことは確かにはったりだが、嘘はついていないぞ?(刺さった剣を抜く)」
カツラ「だが残念だったな、こやつにかかっていた『庇護』の魔法のおかげで、剣は急所を外した!
    腕ならばこの程度の傷、多少痛むがどうということはない。」
 8号「…確かに。いつもながら、ついてないな。(苦笑い)」
カツラ「…これで終わらせる! ダイナミックチョッ…!」
 8号「…下手な動きは隙を生むのみ!」

ほぼ同時に攻撃を行うカツラと8号。互いに相手の頭にあるものを跳ね飛ばす。

カツラ(はっ、しまった…)
 8号「残念だったな。同じ動きが同じ結果を生むとは限らないのだよ。」
23号「…痛い! 腕が、腕がー!」
 8号「その程度の傷で情けない! …少しは静かにしろ。」

【ジャストフィット (ニ短調)】

ひゅうぅぅー、ぽすっ。

24号「…ん? 何だ? …航空帽? ヘッドホン内蔵型ということは…8号のか!
    ということは…やっぱり、イルダさんの肉体になっている!
    …落ち着け、こういうときは慌てず騒がず、着ているものを全て脱げばいいんだ。
    そう、元に戻るにはそれしかないからな、仕方がないな、あの衣類管理棟に行って着替えよう。
    帽子は…この辺に置いておけば後で8号が取りに来るだろう。」

24号「…いよいよ、この2つで最後だな。…落ち着け、落ち着け。ただ着替えているだけじゃないか。
    …げ、このいい時に誰か来やがった! こんな状態を見られたら、変態扱いされてしまう。隠れよう。
    あれは…29号か?」
29号「さてと、今夜は何を着せて楽しもうか…この床に落ちているのは見たことがないな。」
24号(…それは俺のスーツが変化したものだ!)
29号「…なかなかに刺激的だ。よし、今夜はこれにしよう。(衣装を持って部屋を出る)」
24号「…あの馬鹿! 取り返さないと…あ、自分がさっさと着替えればいいのか。」

【Boss in the sky with bloomers】

 ボス「そうか…」
99号「はい…」

 3号「…何でそんなもの着なきゃいけないの!?」
29号「そんなこと言ったって、他の衣裳はほとんど着尽くしちゃっただろ!?」
 3号「…あ! ちょうどいいところに!」

通りすがりにボスに触れる3号。ボスは瞬間的にブルマ姿の幼女に変わる。
シーソーのバランスが取れなくなり、空中に飛び上がるボス。99号は尻もちをついて、側に載せていた重石が転がり落ちた。

29号「すみません! ボス!」
99号「ひゃっ!」

通りすがりにボスに触れる29号。ボスは瞬間的に元の姿に変わる。
バランスをとっていた重石がない状態で、しかも加速をつけて降ってくるボス。99号はたまらず飛び上がり…

【あんず、上から】

11号「うわぁ、いい眺めー!
    下は…柵がないとちょっと怖いね。
    …って何あれ!? 柵がない状態でこの角度で突っ込まれると…危険!

11号はとっさに防犯スプレーを噴出させると、一目散に階段に逃げ込んだ。

99号「痛た…は、は、はっくしょん!
    どうしよう…また性転換しちゃった…
    ここはどこだろう? とにかく近くの部屋に隠れないと。」

【魔法がかかって!】

99号「…立ち入り禁止? そんなの構っていられない。」

49号「では、これからしばらく集中を乱さないでくださいね。イメージが崩れると正確に変身させられませんから。」
28号「はい、解りました。」

バタン!

49号「! しまっ…」
28号「…い、嫌ああぁぁぁ! こんな男の格好なんて、嫌ああぁぁぁ!」
99号「ひゃぁ!!」

【超ドジっ子カフェを往く】

 26号「ねぇ、兄上。あれ…双葉さん、どうしたんでしょうね?」
 16号「…イルダさんの魔法が妨害を受けて暴発したんだ。すぐに戻してもらったがショックは消えない、ということらしい。」
 86号「はい、「2.8kg」ができたから、誰か運んで頂戴。」
 77号「はい、あたしが行きます。」
半田ケイ「…大丈夫か?」
 77号「大丈夫大丈夫。備品を壊したりパフェをひっくり返したりはしないと思うから。」
店員全員(不安だ…)
 77号「おまちどうさま…(どんがらがっしゃーん)」
 28号「…凄い進歩じゃない。転んでも備品を壊したりパフェをひっくり返したりしなくなったなんて。」
店員全員(結局転ぶのかよ!)
 77号「ありがとうございます! では、ごゆっくりどうぞ。」
 28号「ちょっと待って、このメモ、追加注文ね。(ぱくぱく)」

 39号「さて…と。そろそろ名刺の整理をしておかないとな。
    (特にこのロッキーの名刺とか、力のある名刺は別にしておかないと…)」
 77号「ええと、追加注文は…(どんがらがっしゃーん)」
 39号「うわぁ!」
店員全員(やっぱり転んだ!)
 77号「大丈夫大丈夫。被害はないでしょ?」
店員全員「そりゃそうだけど…」
 16号「…ところで、何でこんなところにロッキーがいるんだ?」
 86号「介助犬じゃない犬が店内にいるのは問題ですね。ケイさん、連れ出しをお願いします。」
半田ケイ「解りました。」

【ロッキーの記憶】

半田ケイ「よし、いい子だ。ちゃんと付いてこい。」
 39号「わふ」
  1号「おう、ケイか。どうしたんだ、その犬?」
半田ケイ「その犬って、ロッキーのこと、忘れたのか?」
  1号「え!? 嘘だろ!? そのビーグルが?」
半田ケイ「何を言っているんだ? ロッキーはビーグル犬だろ? おい、いちご、どうした!?」

【いちごちゃんの主題(テーマ) お約束 (編曲版)】

ロッキー「…つまり、39号が変身した俺を見て、俺がビーグル犬に見えたと思ったことが、引き篭もりの直接の原因となります。」
  ボス「…ロッキーがビーグル犬であることは、誰がどう見ても明らかだろう。後で引っ張り出して来い。」
ロッキー「かしこまりました。」
  ボス「…とにかく、今回はご苦労だった、ロッキー。
     そうだ、ご褒美をやらないとな。ネギマ1パックと裁縫セットだ。じっくりと傷を直して、次の任務に備えなさい。」
ロッキー「…」


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